日本人が見習うべき英語:水野正人&ヤセル・アラファト編
2013年9月15日 CATEGORY - 日本人と英語
私は日本人の英語について考えることをずっと仕事にしてきました。
その中で最大の課題は、「なぜ日本人は英語と健康的に付き合うことが難しいのか」ということでした。
どうしても日本人は英語に対して、大上段に構え、何か特別なものだと考えてしまう。
というように、技術的なことよりも気持ちの問題で日本人自身に自ら大きなハードルを作ってしまっているというのが私の感想です。
そんな日本人がもっと英語を普通にとらえられるよう、そのハードルを下げる方策として身近なお手本を自書「富士山メソッド」の中にも書いています。
故ヤセル・アラファトPLO議長の英語がそれです。
めちゃくちゃ自国語なまりを出しながら、自分の主張をとうとうと述べ続ける。最初はそれが英語を話しているのかどうかもわからないくらいです。そして、相手に対しての主張を決してやめません。
それでも、聞き手は最初はてこずりますが話が続いていくとだんだんその癖に慣れてきて、言いたいことはわかるようになってきます。
日本人が、少しでも理解されてないのではないかと感じてしまうとすぐに「I cannot speak English.」といってコミュニケーションを投げ出してしまいがちなのとは正反対です。
しかし、私は日本人にとってのその高いハードルを下げる目的でこのアラファト議長の英語を例示しているわけであって、もちろん、彼の英語が最終目標の英語ではありません。
ですから、皆さんに日本人としての到達すべき目標を例示できればと思ってそのような英語を話す方を探し続けていました。しかし、「日本人として目指すべき英語」を話すという視点で探すとなかなかいらっしゃらない。
もちろん、日本人でも英語が上手な方は星の数ほどいらっしゃいます。
しかし上手な方はいわゆる「帰国子女英語」つまりネイティブのコピー的な英語になってしまいがちです。
もちろん、ネイティブのコピー英語なのですから、このようになれればそれはいいことですが、すべての日本人の英語学習者が目指そうと思って到達できるような目標ではありません。
日本人として目指すべき英語の到達目標とは、日本人が日本語という言語を母国語としながらその上に英語を外国語として習得するうえで目指したいレベルのことです。
今回私はそれにふさわしい英語を見つけました。
2020年夏季オリンピックの招致委員会専務理事の水野正人氏の英語です。
とやかく説明はいらないと思います。
彼の英語はネイティブではないとすぐにわかる英語ですが、それによって、むしろ説得力を増しているような気がします。
このような良い例がどんどん世の中に出てくることが、おのずと日本人が日本人らしい健康的な英語力を身に着けるための土壌となっていくのだと思います。