日本人と英語

語法と文法について

2016年2月14日 CATEGORY - 日本人と英語

演繹法と帰納法                

 

 

 

 

 

 

 

前回に引き続き、「英語観察学~英語学の楽しみ~」からのトピックについて、第二回目の今回は、「語法と文法」についてです。

文法を教える側、そして教わる側にとっての一番の悩みは、文法的に正しい文を作ったとして、それが自然な英語の文であるかどうかを判断することが難しいということです。

この「それが自然な英語の文であるかどうか」の判断基準を「語法」と言います。

英語に限らず、言語の文法や語法は時代とともに変化します。しかし、語法は文法の変化と比べると圧倒的に激しく変化するものです。なぜなら、語法は社会情勢等、文法以外のあらゆる要素によって左右されるからです。

それらの要素の影響を受け、「文法的には正しいかもしれないが、何かしっくりこない」という結果をもたらすのです。

この語法についての調べ方について、本書では、

①辞書や語法辞典やコンピューターなどを活用する方法と②ネイティブチェックの二つをあげています。

こうして見てみると、文法的に正しいかどうかの判断は、演繹法的なアプローチであることが分かります。

つまり、文法という明確なルールを単純に自らの言いたいことに適用する、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る手法です。

それに対して、語法的に正しいかどうかの判断は、帰納法的なアプローチであるように思います。つまり、まず個別具体的な「事例」が存在していて、それらの事例が蓄積されたデータベースを活用して、一般的、普遍的に容認される「語法」に収まっているかどうかを判断する手法です。

ここで、後者の語法には、前者の文法にはない「容認度」という考え方が存在するのです。 例えば、ネイティブチェックに関していえば、人によってある表現が正しいかどうかという判断にはばらつきが生じることになります。それは、出身地の違い、世代の違い、性別、等々、容認度の差が生まれてきます。

実際に、私が会社の外に対して出さなければならない英文は、講師にネイティブチェックを頼むことが多いのですが、頼む講師ごとにその結果は違ってきます。

このように、ネイティブチェックというのは、非常に難しい要素を含んでいるということを理解しておくべきです。

このことから考えると、英語を外国語として学習する私たちの学習態度としては、まずは「文法」という一般的・普遍的な前提から、自ら「文章」を創作し、それを実際のデータベースである英語環境に果敢にぶつけてみて、そこでの反応を見ることを繰り返すことが重要だという結論になるような気がします。

まさに、演繹法的アプローチである「文法」と帰納法的アプローチである「語法」の間を行ったり来たりするバランスのとれた英語学習が理想的であると言えましょう。