
「ネイティブ」とは何か
2025年8月5日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「使うための英語#352」からテーマをいただいて書いていきますが、第一回目のテーマはズバリ「ネイティブ(スピーカー)とは何か」です。
英会話学校を運営している上で最も頻繁にされる質問の一つが「お宅の講師はネイティブですか?」という質問です。
この質問に対してランゲッジ・ヴィレッジの回答は、「はいそうです」というのが創業した2004年から今までずっと続いています。
しかし、それに対する質問者のリアクションが少しだけ微妙になってきたのが、イギリス領カメルーン出身のファビ先生がこちらのスタッフ紹介ページに挙げられるようになってからです。
つまり、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(英語圏五カ国、ファイブ・アイズと呼ばれたりもする)出身の講師しか英語ネイティブとは認めないという方が一定数存在し、イギリス領カメルーン出身のファビ先生をネイティブとしたLVの回答に疑問を呈される方がほんの少しですが存在するようになってきたということです。
LVとしては、英語の「ネイティブスピーカー」を「出身国を問わず英語を生活のための主たる言語として使用してきた者」という意味合いでとらえているため、当然のこととして「はいそうです」という回答になります。
ただ、これもあくまでも私たちLVが考える概念であり、一度整理する必要があると思っていた矢先に、本書の中にこの概念に関するかなり詳しい言及部分がありましたので以下、(かなり長くなりますがそのすべてが重要な内容を含んでいるのでそのまま)引用します。
「『ネイティブ』とは『英語のネイティブスピーカー』を指す略語として日本では広く使われている。言語学でも長く使われてきたが、最近では、複雑な問題を抱えていると批判されている。英語のネイティブとは、通常以下の4つの条件をすべて満たすとされている。
①英語を母語とし、生まれたときから、または幼少期から英語の環境で育つ
➁どんな状況でも英語を流暢に使える
③英語を話す社会を深く理解し、その常識や表現を身に着けている
④英語がその人にとって最も強い言葉であり、頭の中の深い思考を英語で行う
だが、この4つの条件が適切かどうかの議論があるし、条件を満たすかどうかも、現代社会の複雑な状況では割り切れないことが多い。例えば、どの国でどんな英語を使う人を英語ネイティブと呼ぶか議論は尽きない。国際的な英語教育業界では、ネイティブの英語教師をイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、南アフリカの7カ国の出身者に限定する定義が存在する。しかし、これらの国でさえ、英語が広まる前の現地語が存在するし、移民など英語をあまり話さない人もいる。一方、インド、フィリピン、香港などでも英語が広く使われるが、これらの国で英語を第一言語とする人であっても、ネイティブと呼ばれないことが多い。その理由は、この地域の英語が『標準的でない』『なまっている』からだと言われる。しかし、イギリスやアメリカにも『標準英語』とはかなり違う、地域の特色を持つ英語がある。どの英語がネイティブ英語か、何を根拠に決めるのだろうか。個人のネイティブの定義にも疑問がある。多言語を使う環境で育ったり、家庭と学校で使う言葉が異なったり、家族の母語が違う家庭に育ったりした人々には、どの言葉が母語になるのか。母語と第一言語の区別もあいまいで、『話す』と『書く』とで特異な言葉が違ったら、どの言葉のネイティブになるのか。どの問いかけも言語学的には重要で、多くの研究が蓄積されているが、単純な結論はない。さらに、ある人が英語ネイティブかどうかは、その人自身の感覚と周りの見方とで違うことも多い。だから、英語を使う人々をネイティブかそうでないかで二分するのは机上の空論であり現実的ではない。むしろ、非常に英語力の高い人からほんの少ししか英語を知らない人まで、個人の英語力をあらゆるレベルの連続体と捉え、ネイティブもそうでない人もその線上のどこかに位置し、さらにその英語力は時間とともに変化すると考える方が適切だ。」
つまり、冒頭で私がご紹介した「ファイブ・アイズ」と呼ばれる英語圏5か国やそれをもう少し拡大した英語圏7カ国の出身者であって、上記の4条件を満たす者しか、「ネイティブ」と呼ばれないとするという旧来の認識は、多くの研究の蓄積によって次のような考え方にシフトせざるを得ない状況にあるようです。
ある人が英語ネイティブかどうかの判断は、個人の英語力をあらゆるレベルの連続体と捉え、すべての英語使用者がその線上のどこかに位置し、さらにその英語力は時間とともに変化すると考える方を基礎として、それでもなおネイティブかそうでないかを区別をする必要がある場合に、出身国に関わらず上記の4条件を満たすかどうかのみで行うというのが、現時点において最も合理的ということになりましょう。
ということは、「出身国を問わず英語を生活のための主たる言語として使用してきた者」という基準を採用の可否に使ってきたLVの判断は大方妥当だったと考えて良さそうです。
ということで、今後はもう少し厳密にその定義を捉え、この4つの条件をランゲッジ・ヴィレッジの国内留学担当の講師の選定基準の一つとして、機能させることといたします。









