日本人と英語

なぜリスニングを苦手に感じるのか

2024年6月19日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の読み方 リスニング編」からテーマをいただいて書いていきたいと思いますが、第一回目のテーマは「リスニングを苦手に感じる理由」です。

英語を外国語として文字から学習し始めた日本人としては、理由も何も当たり前じゃないかと思うわけですが、この当たり前をここでしっかりと理解しておくのは重要だと思いますのでどうかお付き合いください。

これは「話す」>「書く」と同じように「聞く」>「読む」だからです。

これだけ言われても「?」であるはずなので、私が自ら主宰する「文法講座」のオリエンテーションの冒頭で説明する以下の内容でこの真意をご理解いただこうと思います。

「この文法講座を修了した時点であなたは、単語さえ分かれば、そして時間さえかければ、という二つの条件付きではありますが、頭に浮かんだいかなる日本語であっても全て英語に変換する力を手にすることになります。でも残念ながら、それは何でも英語で会話ができることとは全く次元の違うことです。というのも、その変換する(文章を書く)時間はおそらく1分くらいはかかってしまうからです。しかし一方で、会話に足る変換する時間とは理想的には0.5秒だから、それでは到底会話には太刀打ちはできないのです。でも、(文法力を身に着いていないために)いくら時間をかけてもできない人は、永遠に0.5秒でできるようにはならないことは確かです。つまり、ランゲッジ・ヴィレッジの『国内留学』はこの文法力がついた人が、英語だけの環境に身を置くことで、1分を0.5秒にすることを目的として行うものなのです。」

つまり、「話す」>「書く」と同じように「聞く」>「読む」だから、そもそも日本人の英語学習者が「リスニングを苦手に感じる」のは当たり前のことだということです。

ただ、本書ではその理由についてを私の上記の発言よりもずっと丁寧に、二つの要因に分けて説明してくれていますので、以下要約の上引用します。

まず一つ目は「音声として認識できない」からです。

「一定の英語の知識がある人がそれでもなおリスニングが本当に苦手でできないと感じている場合、主に二つの要因が関わっていると考えられます。

一つは文字で書かれているものを読めばすぐに分かる内容でも、ナチュラルスピードで音声を聞くと正しく語句や表現を認識することができず聞き取れないというケースです。

例えば以下の動画(0:17くらいから)の2人のやり取りを見てみましょう。

A:Captain. Do you have any idea what those markers are?

B: They look pretty ancient.

シンプルな英語で難しい語句もほとんどありませんが、使用されている語句や文法について十分な知識があると思われる人でも1回では正確に聞き取れないことがそれなりにあります。

Do you have,,,の部分が『デュァヴ』のように聞こえる、Theyが単語というよりも詰まった音のように聞こえる、というのが原因のようです。このような場合は、英語の音声に対する耐性の低さが正確な聞き取りを妨げていると言ってよいでしょう。」

そして二つ目は、「スピードに追い付けない」からです。

「こちらは音声として正しく認識できていても理解するスピードが相手の話す英語のスピードに追い付かず聞き取りが阻害されるというパターンです。英語の音声を聞いたり、動画を視聴したりしている際に、はっきりした発音で聞き取りやすいと感じていたのに、徐々にどこがどこにつながっているのかがあいまいになり、自信をもってついていくことができなくなった、という経験をしたことはないでしょうか。

試しにNHK worldのあるニュースの冒頭の箇所を書き起こしたものを少し急ぎ足で読んでみてください。

Steve Jobs needs no introduction. As founder of Apple, he came up with amazing products and technologies that changed the world, from the Maintosh computer to the iPhone and the iPad.

本書の読者であれば、じっくりと読んでもこの英文の意味は全て分かるはずですが、急ぎ足で読むとなると、第2文は少し修飾語句が多くなっているために、途中でほんの一瞬考えるといったことがあったかもしれません。実際のニュースではこの第2文を12秒で発音しているため、少しでも途中で構造を考えたり、単語で悩んだりすると簡単に置いていかれてしまいます。まさに速度がネックになってリスニングがうまくいかないパターンです。(こちらも動画の案内があったのですが、残念ながら権利の問題か何かで見られない状態になっていました。)」

これなどはまさに、私が文法講座で説明している「話す」>「書く」の理屈と全く同じです。

ということは結局、「訓練あるのみ」ということになるのですが、本書ではその訓練を比較的次週という形で取り扱いやすい「リーディング」のトレーニングを応用する形で、「リスニング」向上のポイントを丁寧に指南してくれています。

次回はその具体的な攻略法についてみていきたいと思います。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆