日本人と英語

「語彙」の取扱いについて

2025年8月7日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「使うための英語#352」からテーマをいただいて書いていますが、第五回目のテーマは「語彙」の取扱いについてです。

この語彙ほど、英語学習において費用対効果の低いと思われる分野はないと思われます。

それは、学習者にとってどれだけ努力して増やしたとしても、自分の知らない語彙との出会いは避けられず、また覚えたそばから忘れていくものであり常に「徒労感」から逃れられず、教育する側からしても「教える」という行為が効率的にも効果的にも結果に結びつかない厄介な分野だからです。

それでも、私は今まで「認知科学的な語彙記憶法」や「ボキャビルについて」などの「語彙の記憶法」についての記事を何度か書いてきました。

本書には「語彙を分類して対処する」というこれまでとは少し違った観点からの言及がありましたので、以下要約引用します。

「ELFとしての英語を仕事の現場で使う人たちからの必要順の単語は、

①専門用語:自分の専門分野に必要な用語(学校英語ではカバーされないものがほとんどで自分の必要に応じて自ら選ぶ)

➁基礎的語彙:シンプルでわかりやすい単語(ELFユーザーの会話の80%が1000語、90%が2000語で構成されており、学校英語でほぼカバーされている)

③テーマ語彙:関心があるテーマでよく使われる単語や表現(学校英語でもカバーされているものが多いが、自分の必要に応じて自ら選ぶ)

これらを学習する際に、『知っている単語の性質』とそれに適用すべき『単語の覚え方』を理解することが重要だ。

私たちの単語の知識は大きく二種類に分けれられる。それは話したり書いたりする時すぐ思い浮かぶ『使える単語 active vocabulary』と見たり聞いたりする際には理解できるが、自分で使う場面では思い浮かばない『知っているが使えない単語 passive vocabulary』だ。当然だが、前者の方が後者よりかなり少ない。つまり、英語を話し書くとき、単語が思い浮かばずに苦しむのは、『知っている単語』を使う練習の不足が主な原因であり、単語帳などで単語を覚え、『知っているけど使えない単語』をさらに増やしても解決しないことが多い。

一方、単語の覚え方には、基本的に2つのやり方がある。一つは語彙集などを使い語彙を集中して覚える『集中法 intentional learning』という方法で、もう一つは、読んだり聞いたりした文中で出会った語彙を覚える『出会い法 incidental learning』という方法であるがそれぞれに短所と長所がある。

『集中法』は、語彙への注意度が高まり、一度に広範囲に数多くの語彙を覚えるのに効率的なので、試験の準備にぴったりだ。実際、あらゆる英語テストや受験対策のための英単語集が多く出版されている。しかし、この方法は『知っている単語』を増やすには早いが、それを『使える単語 』に変えるのは難しい。

対照的に『出会い法』は、実際の文中で出会いながら語彙を学ぶので、使う状況や使い方をより深く理解するには向いている。しかし、この方法の欠点は、積極的に多くの英語を読み、聞いていないとそもそも単語に出会えないことである。また、文中で出会った単語も、覚えようとせずに素通りしたら記憶に残らない。一方で、単語ばかりに気をとられると、本来の読んだり聞いたりの理解はなかなか進まない。つまり、語彙の記憶には、『集中法』と『出会い法』をうまく組み合わせることが必要だ。

具体的には、専門用語はまず『集中法』で一通り頭に入れ、その後『出会い法』で自分の英語の使い方に合わせて補強する。専門用語は語数が100語くらいで十分なのでまとめて調べ、リストにして覚え、そのリストを繰り返し復習するほうが効率的だ。その後の『出会い法』で、専門用語を使うたびに、不明瞭だった意味や使い方を確認し、覚え直す。一方、専門用語よりはるかに多い基礎的語彙とテーマ語彙を増やすには『出会い法』の活用を勧める。」

英語学習者であるならば、言われてみれば当たり前だと思えるけれども、このように言語化して示されると、やみくもに対処せざるを得なかった語彙記憶作業に、納得感をもって取り組むことができるような気がしました。

また、自分自身が英語とどう向き合うかという目標設定が、自動的に語彙記憶の方法の選択に導いてくれるという理解にも行きつくのではないでしょうか。

つまり、大雑把に言ってしまえば、英検などの資格試験を突破するには、単語帳などで単語を覚え、「知っているけど使えない単語」を増やすことが不可欠ですが、仕事などでのコミュニケーションを重視するなら、「知っている」単語を使う練習をとにかくすることのほうが重要になるということです。

この点、特にビジネスマンの多くが、「言われてみれば当たり前だと思えるけれども、、、」というところで止まってしまわないことがポイントです。

自戒を込めて。

 

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