日本人と英語

「月(months)の名称」の語源

2024年5月13日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の種あかし」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目のテーマは「月(months)の名称」です。

以前に「英単語の語源図鑑#191」の書籍紹介ブログにて、

「中学一年で英語の授業が始まった時、『morning』という意味のつながりを全く持たない7つのアルファベットの組み合わせを完璧に覚えることが『単語を覚える』ということで、しかもそれを中学3年間で1000個以上も覚えることになると聞かされた時の『恐怖』と『絶望』は今でもはっきり覚えています。(笑)」

と告白しましたが、その中でも「月(months)の名称」に関しては日本語だったら1~12月という数字で済むのにそれぞれ「単語を覚える」作業を要求されるわけですから、特にその絶望感は深かった記憶があります。

このように、ただでさえ厄介な「月(months)の名称」ですが、本書はこれがただ「単語を覚える」作業を要求されていただけにとどまらず、実は意味的にも「ひっかけ」が込められており、二重の闇をかかえるものだったことを教えてくれています。

以下、少し長くなりますが本書よりその該当部分を引用します。

「英語で6月を表わす June は、ローマ神話の最高神ジュピターの正妻であるJunoという女神から出たものと言われている。実際、この女神の祭礼は毎年6月1日に行われていた。このことから6月に結婚式を挙げると幸せになれるという『June Bride』の言い伝えも生まれた。ただ、June はラテン語で『若い』を意味する juvenis から出たとする説も有力なのである。この6月もそうだが、英語の月の名前には今日から考えるとかなりいい加減にできあがっているものが多い。ご存知のように、9月は英語では Septemberと言うがsept というのはもともと『7』のことであり (フランス語ではいまでも7のことである)、October (10月) の octo も8本足の 『たこ(octopus)』などからも連想されるとおり、もともとは『8』のことである。したがって、元来、September は 7(番目の)月のことであり、October は8月のことだったのだ。 同じくNovemberは9月であり、Decemberは10月のことだった。これは、昔は1年が Marchに始まって10か月に区分されていたために生じた問題で、紀元前2世紀に太陽暦が採用されるとき、Marchの前にJanuaryとFebruaryがいれられて12か月になったために、他の月は2か月ずつ後ろへずれることになってしまったのである。現在の7月のJulyももともとは5番目の月と呼ばれていたが、これはローマ時代にこの月に生まれたローマの政治家ジュリアス・シーザーにちなんでこの名称に変えられ、6番目の月だった8月のAugustも、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥス・シーザーにちなんでこの名称に変えられたものである。」

そうなると気になるのは、本書で説明されていないJanuary,February,March,April,Mayの語源です。

調べましたら、以下の通りでした。

◆ January: ヤヌス(ローマ神話における出入り口と扉の神)の月

◆ February: フェブルウス(ローマ神話における月の神)の月

◆ March: マルス(ローマ神話における戦と農耕の神)の月

◆ April: ラテン語の aperio (開く)から、またはアプロディーテ(ギリシア神話における愛と美と性の神)の月

◆ May: マイア(ローマ神話における豊穣の神)の月

つまり、もともと紀元前2世紀に太陽暦が採用される以前の10か月に区分されていた頃は、1月(March)2月(April)3月(May)4月(June)までがローマ神話関連で、5月(July)6月(August)までがローマの政治家および皇帝関連、7月(September)8月(October)9月(November)10月(December)は単純な数字関連ということになります。

そして、太陽暦が採用された以降は、Marchの前にJanuaryとFebruaryのローマ神話関連を二つ追加して全12か月としたということです。

う~ん、なんとも行き当たりばったりに増築を重ねた歪な建物みたいで「なんだかな~」といった感は否めませんが、頭は整理されました。

 

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