日本人と英語

他動詞「start」は目的語に不定詞をとるのか動名詞をとるのか

2025年7月16日 CATEGORY - 日本人と英語

皆さん、こんにちは。

先ほど久しぶりに「We are the world」を車の中で聞いていたところ、その中の「So, let’s get start giving.」(1:26)という一文に強い違和感を感じました。

その違和感とは、私が主宰する「英文法の虎ノ穴」講座の「不定詞と動名詞」の回における他動詞のあとのO(目的語)に「不定詞」をとるのか「動名詞」をとるのかの議論に関するものです。

「不定詞」は未来に起こることを表し、「動名詞」は現在起こっていることもしくは過去に起こったことを表すため、前者は例えばplan (計画する)やdecide(決定する)などの動詞の目的語となり、後者はenjoy(楽しむ)やfinish(終える)などの動詞の目的語になるということで使い分けをします。

また、like(好む) remember (覚えている)forget(忘れる)などの動詞には、未来に起こることも現在起こっていることもしくは過去に起こったこともどちらも目的語として取ることができますが、それぞれの表現の違いというのはその起こる時間的タイミングによって当然にして生じます。

これが一般的に理解されている内容だと思います。

そのことを前提に考えれば、冒頭の歌の中の「start(始める)」はこれから始めるわけで直観的にはplan (計画する)やdecide(決定する)などの動詞と同様に、「So, let’s get start to give.」となるはずではないかと思ってしまったのが私の違和感の源でした。

そこで調べてみたところ、このような解説をされているウェブページを見つけました。

「この start は、動名詞 と不定詞 のどちらも目的語にとる動詞ですが、 オックスフォード実例現代英語用法辞典には、両者(動名詞と不定詞)の間には重要な意味の違いはないとあります。ただし、進行形 の後は不定詞 のほうが好まれ、例えば、I am starting to lerarn Karate.となりがちです。」

この点で、start は、動名詞 と不定詞 のどちらも目的語にとる動詞でありながら、同じく動名詞 と不定詞 のどちらも目的語にとるlike(好む)  remember (覚えている)forget(忘れる)などの動詞とは性質が異なるということが分かります。

そしてもう一つ、私の違和感の解消にとってはこちらの方がポイントになりますが、このページには次のような指摘もありました。

「また、 ウィズダム英和辞典には、『動名詞も不定詞も同じように用いられるが、不定詞の方が行為の開始を意識した表現であり、行為そのものが継続しない場合がある。これに対し動名詞は通例ある程度継続する行為を示す』とあり、例文として、Jim started to say something, but he changed his mind.を挙げて、このような場合には、to sayの代わりにsayingを用いることはないとしています。」

なんとなく、分かったような分からないようなといった感じでしょうか。

でも、この説明であれば、なぜ「We are the world.」の一節が「So, let’s get start to give.」ではなく「So, let’s get start giving.」なのかの理由がよく分かるというものです。

アフリカへの「giving」という行為そのものが継続しないのではこのチャリティー活動自体が無意味になってしまうのですから。

あともう一つ、startと同様、動名詞 と不定詞 のどちらも目的語にとりながらもlike(好む) remember (覚えている)forget(忘れる)などの動詞とは性質が異なる他動詞として、「try」を挙げているウェブページも見つけました。

「try to do はI always try to be a person who keeps their word.というように『〜しようとする』という意味で、本人にとって『難しそうなこと』をイメージしているときに使う表現で、try doing はI’ll try cooking chicken curry today.というように『試しに〜してみる』という意味で、本人にとって『できそうなこと』『実際にできたこと』を表すときに使う表現だ。」

このように見てみると、startにしてもtryにしても、like(好む)  remember (覚えている)forget(忘れる)などとは、どちらも「これからすること」を目的語にするしかないという点で異なり、plan (計画する)やdecide(決定する)などとは、その「これからすること」の「継続性(start)」や「実現性(try)」の強弱によって、動名詞 と不定詞 のどちらを使うかを選択するという点において異なっていると理解できそうです。

完全にすっきりしたとは言えないかもしれませんが、とりあえず冒頭の違和感を解消するには十分な説明ができたと思います。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆