アートとコミュニケーションと情報認知
2014年11月19日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
この写真、なんだと思います?
これは、東京の地下鉄の立体模型アートだそうです。しかも、赤は丸の内線、紫は半蔵門線など色別に各路線の配置などすべて完璧な縮尺で作り上げられているようです。
その中を電車が行きかう状態までも再現されているというすごいものです。動画はこちらです。
最近、LVに現代芸術の作品が展示(⇒こちら)されるようになってから、今までそれほどでもなかったアートの分野に対して、興味を持ってみるようになりました。
その作品についての情報は以下の通りです。
◆作品概要
東京の地下鉄を中心とした3次元路線図模型です。各路線はチューブになっており、その路線のテーマカラーの色水が流れます。再現する路線は計18路線。みんなで路線図を取り囲むことで、3次元路線図ならではの発見や、馴染みのある場所の思い出に会話がはずむ空間を作ります。ぜひあなたの東京を再発見してください。
◆作者プロフィール
- 2007年-
- 東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室所属
- 2007年
- 東京工業大学 工学部 情報工学科 卒業
- 2003年-
- 東京工業大学ロボット技術研究会
ヒトがなぜコミュニケーションできるようになっていくのかに興味を持ち、コミュニケーションの認知発達モデル構成の研究を行っている。
この方のプロフィールをみて、アートの目的はコミュニケーションなのではないか?ということに思い当たり、なお一層、アートの分野に興味を持てるようになったと思います。
つまり、こういうことです。
地下鉄に乗客として関わるだけだったら、地下鉄のシステムについての理解としては表面的で十分です。つまり、必要なのは平面図の地下鉄地図です。これで、乗換えなどに必要な情報は十分とることができます。
しかし、
地下鉄を工事業者として関わる、しかも地下鉄の新規開設などの場合には、その情報だけでは不十分で、各路線が地下でどのくらい接近しているのかの立体情報は必須でしょう。(この作品が直接その役に立つかどうかは別として)
でも、乗客にこの情報を直接提示することは、不要というよりかはただ、余計な混乱を引き起こさせるだけです。
人間のコミュニケーションは点と線、平面と立体、その情報を求めている人の必要性に応じてアウトプットの性質と量を調整して行うことが重要なわけです。そのことをきちんとできることが「なめらかな」コミュニケーションにつながります。
コンピューターと人間の間で一番大きいギャップは、まさにこのアウトプットの調整の部分だと思います。
そして、アートというのは、そのようなコミュニケーションの最上位の部分で行われる「なめらかすぎる」情報の提供なのかもしれません。
この地下鉄の作品は、限りなく実用に近いアートですが、例えば、LVに展示されている鈴木先生の作品などはまさに最上位の「なめらかさ」だと言えそうです。
例えば、下の作品に添えられている次のコメント:
「人間って、つぶやいている瞬間がありますよね。「ふう」とかね。感情と感情の合間というのかな、だから向こうを向いてクスッと笑うとか。そういう瞬間ね。やはり僕が求めているものに「向こう側」というのがあるんです。もう一つの空間がどこになるかということを懸命に探しているというようなね。」
この「なめらかすぎる」情報をなめらかに受け入れることができるのがアート鑑賞に堪えられるということであり、それはやはり人生経験をつむということによって少しずつできるようになることなのかと思います。
ただ、正直なところ、まだまだこのなめらかさにはついていけていません、、、(笑)