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グレタさんをグレたままにしておかないためには

2023年2月26日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前に、日本人と英語ブログの「How dare you!の謎」という記事の中で、2018年の国連気候変動会議でのスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの「How dare you! ?」という表現を取り上げました。

その際に彼女の発言を聞いた少なくない数の大人は「グレた(世間知らずの無責任な)発言」として真摯に受け止めようとはしませんでした。特に当時のアメリカ大統領トランプ氏と彼女の舌戦は以下のように興味本位で取り上げられることも多くありました。

ただ、トランプ氏のアメリカファーストに象徴される「将来」よりも「現状」を優先する考え方はあまりにも極端であり、私を含めかなりの数の大人が、この舌戦に関してはグレタさん側の軍配を上げたはずです。

しかし、彼女の意見とぶつかる大人の発言であってもそのすべてがトランプ氏のように完全に「自己中心的」なものだったわけではありませんでした。先日、このグレタさん発言に対するカウンターパンチとして一見の価値はあると思われる映像を見つけましたのでご覧ください。

これ(0:48~)はオーストラリアのニュース番組「Sky News」のキャスター、アラン・ジョーンズ氏が、彼女のような気候変動デモを急進的に行っている若者たちを番組内で一喝した際の映像です。

彼の発言を要約すると次のようになります。

「気候変動デモを行っている学生諸君に言っておく。君たちは学校の全教室にエアコンやPCの設置が義務付けられた初めての世代だ。自分の部屋にTVがあるのが当たり前で、学校への送り迎えを各人自家用車でしてもらうのが当たり前でそのことによって交通渋滞まで引き起こしている。トレンディであり続けるために常に最新鋭の機器に囲まれている。だからこれからは先生にエアコンを切るように言え、自転車や歩きで学校へ行け、電子機器を使わず本を読め、ファストフードをやめてサンドイッチを自分で作ってみろ。でもやらないよな、なぜなら君たちは、ありとあらゆる部分で西洋文明の恩恵を受けているのにもかかわらず、独りよがりで自分勝手な自己陶酔に頭をやられた大人たちに洗脳されているからだ。目を覚ませ、成長しろ、そして口を慎め!」

このようにどっぷりと西洋文明の恩恵を受けていながら、そして今後もそれを放棄する覚悟がない中で「主張」と「非難」だけを行う学生たちへのアラン・ジョーンズ氏の「一喝」は、トランプ大統領の発言に比べて圧倒的に説得力があり、この発言によって当時多くの大人たちが留飲を下げたといわれています。

正直言って、私も非常に大きな納得感をもってこの発言を聞いた一人でした。

しかし、次のニュースピックスの記事とその記事に対するピッカーのコメントを見つけて、その考えが揺らぎはじめました。

以下、記事を要約します。

「イギリスにある宿泊施設「アンプラグド(Unplugged)」は、そんな生活を束の間味わえる場所だ。忙しいと嘆く人に3日間の『デジタルデトックス(一定期間、スマホやパソコンなどの電子機器の利用を控えること)』を促し、全体的なウェルビーイングを向上させるための究極の休息を提供している。『気を散らせる原因となるものを全て取り除き、完全にスイッチをオフにしてリラックスするとどうなるかーー。結果的に心は充電され、視点は明確になり、今まで欠けていた平穏を感じることができるのです』と共同設立者のヘクター・ヒューズ氏は述べる。」

そして以下は、私が気になったこの記事に関するピッカーのコメントです。

A:「バカだな。わざわざ人間としての機能を縮小しようとしてる。あ、バカだから縮小するのか。」

B:「とても良いですね。何よりこういう提案が出来ることが多様性の本質だと思います。ネットと向き合う事ばかりが正解でもなく、依存症や情報過多による悪影響も明らかになっているし、既にテクノロジーの方が人間より上手になっている現実を踏まえても、強制的な環境に身を置き人間らしさを取り戻すことは大切だと思いますね。」

C:「最近、米国の全寮制の学校でスマホ禁止措置を導入した事例を読んだ(機能限定のデバイスのみ所有許可)。良好な結果が得られていると書いてあった。日本では九州の中高一貫校Rの寮がPC、スマホ禁止で有名。#スマホ禁止」

AとBは全く正反対の意見ですが、このトピックにおける双方のメリットデメリットを考えると当然に想定されるものだと思います。

そこで私が特に注目したのはCのコメントです。

というのも、私の三人の子供は別々の中学に通っているのですが、その三校でデジタルに関する考え方が見事に三様に分かれていることから、私自身このトピックについてずっと考え抜いてきたからです。

ちなみに、

長女は男女共学のIB(国際バカロレア)認定校に「通学」しており、デジタルデバイスの使用は必須です。

長男は男子校の「寮」に入っていてCのコメントのR校と同じく完全にPC・スマホが禁止で、授業の形態もアナログ重視です。

次男は長男とは別の男子校の「寮」に入っていますが、長男の学校とは違い授業はデジタルデバイスの使用は必須で、寮では休み時間のみスマホの使用が許されています。

その上でうちは三人ともにスマホは持たせておりません。(長女と次男のみ通話機能しかない携帯は持たせています)

その理由は、かなり前に「スティーブジョブズは我が子をアナログで育てた」という記事にて書いた通りで、私はその時の「確信」を今も子育ての中心においています。

もし、私がその確信に完全に忠実になるならば、三人の学校で最も理想的なのは「長男の学校」ということになりますが、A(実はこれは堀江貴文氏のコメント)にあるように、現在の社会状況を考えると、「次男の学校のような授業形態でなおかつ寮ではスマホ使用禁止」というのが私の理想ではあります。(この学校も途中まではそのようにしていたらしいのですが、生徒及び親の大多数の希望から結局そのような形になってしまったようです。残念!)

その意味では、三校とも帯に短し襷に長しではあります。

しかしながら、三人の子供の個性も全く異なることからそれぞれの子にとっての最良はそれぞれちがってくるわけで、それぞれの学校は個別に最良の選択をした結果であると考えます。

何が言いたいかと言えば、気候変動の問題についても大人は「現時点で最良であるという確信」に基づいてなすべきことを最大限の責任感をもって選択する姿勢を子供たちに示していくしかないのではないかということです。

私自身、アラン・ジョーンズ氏の発言には留飲を下げる思いはしました。しかし、「エアコンやPCの設置」にしても「各人自家用車での送り迎え」もそれを子供たちに与える決定をしたのは彼らではなく「大人」です。

本当に大人が気候変動への危機感を理解したならば、仮に子供が何を要求しようが子供のためにそれを与えるべきではなく、与えてしまった責任は紛れもなく大人にあります。(アラン・ジョーンズ氏も学生は特定の意図を持った大人に洗脳されているにすぎないと言っています)

現実の世界は複雑であるため、完全に理想的な教育を与えることができなかったとしても、それはそれで親の責任として享受するしかないのと同じように、気候変動に対する責任も、子供を一喝することだけで放棄してしまってよいわけありません。

少なくとも、気候変動という未曽有の危機に直面してしまったからには、子供たちがいくらあれが欲しいこれが欲しいといってもそれを与えない(もちろん大人自身も我慢するのは当然)という決断をしなければならないことを改めて確認しました。

つまり、私たちが子供たちに伝えるべきは、「君たちがすべきことは、(特定の意図を持った大人による洗脳から)目を覚まし、成長し、(責任を自覚して自分も我慢するというまともな)大人と一緒に変えていくことだ!」ということではないでしょうか。