なぜコンサルはコンサルなのか
2015年8月30日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日、少し古い本ですが、「ミッションからはじめよう」という本を読みました。
この著者は、私と同世代でありながらあのマッキンゼーの最年少役員を経験して、現在は自らのコンサル会社(ご自分ではコンサルではないとおっしゃっていますが)フィールドマネジメントの代表であります並木祐太氏です。
その中で、最も印象に残ったのが、彼の考える「なぜコンサルはコンサルなのか」という命題についての答えです。
実は、弊社の社長は「コンサル」と聞くだけで機嫌が悪くなるくらいに、コンサル嫌いです。(笑)これは、弊社の社長だけでなく、自らの力でビジネスを切り開いてきた創業社長の多くが持つ印象ではないかと感じています。
その印象をもっと誤解を恐れずに表現すると「現実を分かっていない口先だけの人たち」というものだと思います。本書の中でも、著者はこの点について自虐的とも思えるほどの表現でこの点を言い表しています。
「(コンサルは)論理展開と整理は一流だが、ビジネスを遂行するリアリティはなく、新しい価値を作ろうとするインスピレーションがない」
興味深かったのは著者がコンサルがそのように思われてしまう根本的な理由を非常に分かりやすく説明しているところでした。
「かつてのコンサルはgray-haired すなわち、実際に企業経営者として成功の経験がある人が第二の人生としてその仕事を引き受けていた。したがって、当然にして彼らは、インスピレーションとリアリティの塊だったわけです。しかしながら、現代企業社会は、より複雑化しコンサルの需要は圧倒的に高まりました。そのため、その需要に応えられるようにfact-basedなコンサルタントを大量に育成されたのです。」
彼らは、fact-basedで鍛えられていますので、問題の抽出や分析等、ロジカルな部分に関しては非常に強い力を発揮します。しかし一方で、かつてコンサルの役割を担っていた人たちと違って、企業経営という「総合芸術」をやりきった経験はないわけですから、インスピレーションとリアリティに関しては当然にして期待できないのです。
なるほどなと思いました。
そして、著者は「フィールドマネジメント」というご自分の会社が、このロジックとインスピレーションとリアリティを併せ持つことで「総合芸術への橋渡し」を仕事にしようというミッションを掲げられています。
もちろん、そのようなミッションをもって新たな価値(かつてのコンサルの価値でもあるので新たなというのはあたらないかもしれませんが)を提供していく会社の存在は重要だと思います。
ただ、私たち経営者サイドとしては、コンサルティングサービスの本質を捉え、それらの限界を見定めた上で、自らの仕事こそが彼らのロジックをうまく活用し、インスピレーションとリアリティーを持って仕事に当たることなのだということを理解する必要があるのだと思いました。