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プロとしての矜持

2018年1月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

少し前のヤフーニュースに「患者さんからの袖の下を医者は受け取る?」という記事がありました。

この記事は、現役の若手医師がその実態について解説したものであり、次のような事実が書かれていました。

「医師50人に対する『患者から“袖の下”をもらったことがあるか』という内容の質問に、50人中46人が「ある」と答えた。」

この医師に対する「袖の下」もしくは「謝礼」については、都会ではどうかわかりませんが、少なくとも私が生活する田舎ではその割合はもっと高いのではないかと思われるくらいに「当たり前のこと」のように思われます。

しかし、その状況について私は、ずっと「違和感」を持ち続けてきました。

その違和感には二つの原因があるように思います。

一つは、本来医師はそんなものを求めていない、むしろそんなものを提示されることに対して「失礼だ」と思う可能性の方が高いのではないかと思うこと。

そして、二つ目は、もしその医師がそんなものを当たり前のように受け取るようなら、大切な家族を任せることには躊躇せざるを得ないということです。

医者になるために今までどのくらいの努力をしてきたのか、そもそも数ある職業の中で医者になろうとしたのはなぜなのかを思い出せば、それを受け取ることによる精神的損失はそれを受け取ることで得られる経済的利益をはるかに上回ってしまうということは明らかだからです。

お金を稼ぐことだけを考えれば、医者になるのと同じくらいの努力をすればもっと稼げる職業はほかにたくさんあるでしょう。

恐縮ながら、私も英語教育に人生をささげる覚悟をした上で現在の仕事をしているわけで、仮に生徒さんからそのような提示を受けたら、間違いなくその生徒さんのことを「失礼だ」と思いますし、仮に私がそれを受け取ったら、その生徒さんは心の中では私に幻滅し、次からは私に教えを請うことをしなくなるはずだと思います。

ただ、今回この記事によって、それを受け取らざるを得ない医者の側のロジックが存在していることにも気付くことができました。

「私は患者さんやそのご家族から謝礼のお金を100%受け取らないと決めている。しかしそれには、それなりの困難が伴う。つい先日も、私が手術を執刀した患者さんから、退院間際に現金の入った封筒を渡された。『私は受け取らない主義なので』と固辞したが、どうしても無理やりに白衣のポケットに入れて渡そうとなさった。最終的に押し問答になり、『私の生き方に関わりますので、やめて下さい』と大声を出したところ、やっとあきらめていただけた。それからその患者さんとの関係は少しギクシャクしたように感じた。こういうことは時々ある。」

つまり、自らの主義を貫くことによって、患者さんとの人間関係を上手に作ることができず、不要な問題を作り出してしまうことになることが少なくないということです。

そこでこの記事の筆者である若手医師は以下のような妙案を提示しています。

「それは、感謝の気持ちなどから謝礼金を渡したい患者さんは、医者個人への謝礼としてお金を渡すのではなく、病院への寄付として病院に渡すというものだ。そして病院はその寄付金を公表する。しかも『◯◯医師へ◯◯円』として公表するのだ。公表されているので、患者さんにしてみればどの医師がどれくらい評判が良いかのヒントにもなるかもしれない。この方法ならば、渡したい患者さんのお気持ちを損なうこともなく、さらに昨今苦しい病院経営は少しはマシになるかもしれない。」

もちろん、これについても法律や慣習など解決しなければならない問題があり、すぐには実現できない事情もあるようです。

しかし、その道のプロであるならば、本来あるべき形を現状を言い訳に続けるのではなく、問題の本質を抽出して建設的な解決策を導き出す努力はべきでしょう。

長年にわたって持ち続けた「違和感」に対する実にすがすがしい解決案に触れられたことに感謝したいと思います。

 

 

 

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