ミャンマーブームの裏の真実
2013年9月1日 CATEGORY - 代表ブログ
夕日をバックにしたシュエダゴン・パヤー
皆さん、こんにちは。
現在、3泊4日の日程でミャンマーに来ています。ミャンマーは昨年11月以来で二度目になります。
日本にいるときからミャンマーセミナーなどに出席したりして、ミャンマーに関する知識を収集する中でミャンマー、特にヤンゴンの地価の値上がり方が尋常ではないということは聞いていました。
その現状を今回自分の目で見てそれがどのようなことを意味するのかを解釈してきたいと思っていました。
実際に、再び現地へ来てみて、自ら現地のフリーペーパーやビジネスパートナーの方へのヒアリングからもその「尋常でない」不動産価格にびっくりしてしまいました。
現地の平均給与が1万円程度なのに対して、ヤンゴン中心部の不動産の価格は東京のそれとあまり変わらないという有様です。明らかに、いびつな状態といわざるを得ません。
現在も続く世界的なミャンマーブームの原因は、その安価ではあるが優秀で勤勉な労働力を求めてのものであることは明らかです。
実際に、仏教国だけあってフィリピンなどと比較すると人々の「落ち着き」を感じます。(貧しさで言えば、ずっとフィリピンより貧しいはずなのに物乞いの数が圧倒的に少ないことに驚きです)
もちろん、英語などの通用度に関してはフィリピンの足元にも及ばないと感じますが、街を歩いている中での「落ち着きぶり」は大したものだと思いました。
しかしながら、残念なことに今までの軍政による鎖国的政策によってアジアの中で取り残された国家としてのインフラの不十分さは一年やそこらの開国に伴う投資ブームでは対処の仕様がないというのが現実のようです。
不動産のいびつなまでの高騰も、ブームに伴う外国投資の賜物ではあることは事実ではありますが、実際のところは、圧倒的に供給が追いつかないというところに大きな原因がありそうです。
これだけインターネットなどで情報フラット化された時代になる前から他の東南アジアの新興国がそれらを活用しながらある程度時間を掛けて発展してきた反面、この国は軍政によって人工的にそのような情報化社会から取り残され続けてきました。
そして、インターネットによってフラット化された最近になって突如開国したという世界でもまれに見る発展の形をとることになったといえると思います。
まさにこれは前代未聞の歴史的実験といってもよいかもしれません。
ミャンマーに進出する企業の多くの思惑はコスト削減要因だと思います。
これは、他の東南アジアの新興国でも同じことです。
ただ、他の新興国はその恩恵を少しずつ享受する中でその発展を確実なものとしてきました。そして、徐々に所得を増やすことにもつなげてきました。
しかし、ミャンマーに関してはその特殊な事情により「ゆっくり確実な」発展がそのいびつさによって阻害されてしまっているのではないかと心配になりました。
実際に人件費の安さに惹かれて進出するのに地価が日本と代わらないならは元も子もないよという声も聞こえてきます。
これらが、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれる中で嵐のようなミャンマーブームが引き起こされている裏で実際に起こっている真実です。
この国でビジネスを安定的に築き上げる手腕は日本企業のみならず世界の投資国に課された大きな課題だと強く感じました。
そして、それは投資国自身のためでもあり、ミャンマーの人々のためでもあるはずです。