地方の生き方
2017年10月23日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2017年10月13日)の日経MJに「弱者の戦い方、狭く広げる」というサブタイトルでTOKYO MXという首都圏限定のローカルテレビ局が元気だという記事が載っていました。
ここは、1993年に開設された小さなテレビ局で、首都圏という巨大キー局がひしめいている中での経営は初めから厳しいことが予想されていました。
そうなると、とりうる戦略はただ一つ、弱者の戦い方である「戦線を広げず狭く戦う」です。
ですから、キー局が取り上げない「キワモノ」を敢えて取り上げていくということになります。
その中で見出されたのが、今やキー局の中でも絶対視される存在となった「マツコ・デラックス」さんです。彼女?を起用した大川制作局長は次のように語っています。
「最初は会社の反対もありましたけど、圧倒的な存在感に加え、コメント力がすごい。僕は同性愛者ではありませんが、逆にそちらの感性に寄せていったほうがおもしろくなりました。半歩進んでいるんですね、この人たちは。」
結果、現在ではその分野はものすごく広がっており、もはや「キワモノ」ではなくなっています。
この記事を見て、私はすぐに地元静岡のラジオ局であるK-MIXさんを思い出しました。
この局は、静岡エフエム放送株式会社というのが本名なのですが、まさに規模は違っても、「狭く広げる」を徹底して、「キワモノ」パーソナリティーを大?スターに押し上げています。
そんな大スターが、私が知る限り少なくとも二人いらっしゃいます。一人は、ズミさんこと高橋正純さん、そしてもう一人は久保ちゃんこと久保ひとみさんです。
ズミさんは、なかなかキー局では話題にできない「ハゲ自虐ネタ」で、久保ちゃんは「おばちゃんネタ」で、今や大人気のパーソナリティーで、静岡県民への認知率としては、大げさでなく9割を超えていると思います。
そして、私たち静岡県民の多くが、ズミさんや久保ちゃんの声を聞かないと禁断症状が出るくらいの状況になってしまっています。(笑)
実際に、K-MIXは日曜日には、独自のコンテンツの量を少なくして、キー局である東京エフエムのコンテンツを流すことが多く、彼らの声を聞く機会がグッと減ります。福山雅治さんなど一部の超一流の方の番組を聞くことができる反面、なんとなく寂しい感じがしてしまいます。
そのくらい、今となっては、K-MIXのズミさんや久保ちゃんへの依存度が高まっているように思います。
ですが、地方のラジオ局というのは予算が限られているので、パーソナリティーの知名度が上がってきてこれからだという時に、変更するということを繰り返し、ギャラの高騰を避ける、そしてパーソナリティー個人の能力に頼らない運営をしていくものだということを私は以前に聞いたことがあります。
実際に、ズミさん自身も番組の中で、「そろそろ番組の改編の時期なので、クビになりそう」というような自虐発言を頻繁にしています。
こうなると、TOKYO MXにしても、K-MIXにしても、弱者の戦略にとどまるべきか、それとも強者の戦略に移行すべきかという話になります。
ですが、どちらも地方局であり、そもそも強者の戦略をとるに足る市場が存在していないという現実もあります。
そのため、やはり基本は弱者の戦略をとり続けることが重要になると思います。
そんな中でも、前出の大川制作局長の次の発言には希望が見いだせそうです。
「マツコさんは義理堅い人ですから。お金も払っていないので得した感がないと来ないでしょう。マツコさんが出てくれるのは自分への戒めだと思いますね。自分をまだまだと思うためにMXに出ていると」
このようにそこで育った大スターに恩義を感じてもらって、できることなら細く長く付き合ってもらいながら、メインは新陳代謝を繰り返す。
これが、地方の生き方ではないかと思います。
ズミさん、久保ちゃん、よろしくお願いします!