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新しい道徳

2015年12月25日 CATEGORY - 代表ブログ

新しい道徳            

 

 

 

 

 

 

    皆さん、こんにちは。 北野武監督の著作は出るとすぐ買ってしまいます。 なぜなら、彼の作品は「本音」で書かれているからです。 普通なら、炎上してしまうようなことを、平気で「本音」で書かれます。それが、北野監督の場合、許されてしまう、もしくは仮に許されず、炎上してしまったとしても、本人としてはそれを意に介しません。

そんな北野監督が書かれた「新しい道徳」という本を紹介します。 まず、その冒頭に芥川龍之介の言葉として以下のようなものが引用されていました。

「道徳は便宜の異名である。『左側通行』と似たものである。道徳の与えたる恩恵は時間と労力との節約である。道徳の与えたる損害は完全なる良心の麻痺である。良心は道徳を作るかも知れぬ。しかし、道徳はいまだかつて良心の良の字も造ったことはない。」

この本は、北野監督が、「本音」でこの芥川龍之介の言葉の意味を分かりやすく解説しているものだと言えます。 つまり、道徳は、過酷な環境から身を守るために、他人の助けを得るためのある種の道具であるという考え方だということです。 ですから、環境が変われば、その道徳の道具としての存在意義は変わってくるものです。ですから、学校の先生が、生徒に「二宮金次郎は歩きながら本を読んで偉いと言われるのに、なぜ僕らは歩きスマホしたら叱られるの?」という道徳の質問に答えることができなくなるのです。

道徳というのは、このように、もともと「左側通行」と同じような、単なる自分たちを過酷な環境から守る道具に過ぎないということが分かっていれば、「道徳」という教科にいつもついてまわる「白々しさ」や「茶番ぽさ」といった感覚を持つことなく、「良心」というもののについての洞察を深めることができるのではないかと感じました。

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