
日本語の語彙の平板化について
2025年6月8日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
前回に引き続いて「日本語の大疑問2」からテーマをいただきますが、第二回目のテーマは「日本語語彙の発音」についてです。
私は家族(特に女房と娘)に日本語の発音がおかしいと注意されることがあります。
例えばこちら、
この(19:33)あたりの「人口(じんこう)」という語彙の発音を私は「じんこう」と第一母音にアクセントを置いていますが、これについて「普通は『じんこう』というようにアクセントはつけないよ。田舎者丸出しで恥ずかしい!」とまで言われてしまいました。
しかし、私自身はこれを全くおかしいと思っておらず、むしろ自分の方が正しいと思ってきましたし、そのように注意された今でもそう思っています。
そこで本当はどちらが正しいのか、それを明らかにして彼女たちをいつか「ぎゃふん」と言わせてやろうと常に意識してこのあたりの解説をしてくれている文献はないかと探していました。
そして、ついに本書にその解説を見つけましたので以下に該当部分を引用します。
「日本語のアクセントは声の高低によって特徴づけられます。例えば東京方言では、雨は『ア』が高く『メ』が低い、飴は『ア』が低く『メ』が高いというように区別されます。ここで雨は『高-低』のように高から低への下がり目がありますが、飴は『低‐高』と上がるだけで下がり目がありません。このように下がり目があるものを起伏式アクセント、下がり目のないものを平板式アクセントと呼んで区別しています。『トレーナー』はもともとレの後に下がり目のある起伏式でしたが、最近では平板式の発音も多く聞かれるようになりました。このように、従来起伏式で発音されていた語のアクセントが平板式に変化していく現象を『アクセントの平板化』と呼びます。『美人』『ビデオ』『かなり』など様々な語にみられ、東京を中心に進行しています。なぜ平板化するのかについては、まず起伏式より平板式の方が記憶や発音の労力の面で楽ということが考えられます。起伏式はここの単語ごとに下がり目の位置を覚えなければなりませんが、平板式はその必要がありません。さらに、平板式のように下がり目がなければ発音のために余分なエネルギーを使わずに済むというわけです。」
となると、「人口」がもともと「雨」のような起伏式であったものが、東京を中心とする「平板化現象」の結果、「じんこう」となったものなのか、それとも「飴」のようなもともと平板式の発音なのかということが問題になってきます。
前者であれば私が本来的に「正しい」ことになり、後者であれば彼女たちに軍配が上がるということになりましょう。
そこで、AIに「人口の発音は起伏式か平板式か」と聞いてみましたらこのような答えが返ってきました。
「『人口』という言葉は、日本語の標準語(東京弁)では平板式で発音されます。つまり、最初の音節『じん』が低く、それ以降の『こう』が高く、高音のまま平坦に続きます。」
ええっ!と思いましたが、所詮はAIの回答ですので、これだけをもって100%信用するわけにはいきません。
そこでいろいろ探しまして、このようなウェブページを見つけました。
このページ内の女性の発音が私の発音である「じんこう」(起伏式)であり、男性の発音「じんこう」がここでいうところの「平板化」のように聞こえませんか?
というわけで、この勝負引き分けという形にしたいと思います。
でも、最終的にどちらが正しいのかは決着がついていなくとも、東京弁がそう(たとえそれが平板化現象の結果だとしても)なのであれば、田舎くさい(ウェブサイトの女性は地方出身なのか?)かどうかということで言えばその通りかもしれません。