熱海の奇跡
2019年3月8日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
同じことを聞くにも、身近で年齢も同じくらいの人から聞くと、心に突き刺さるってことありますよね。
まちづくり、中小企業の経営、すなわち小さく経済を回すことの素晴らしさを、私とちょうど同年代の著者がその素晴らしさを実感させてくれる本を読みました。
そのタイトルはズバリ「熱海の奇跡」です。
多くの静岡県民にとって熱海は長らく「廃れた観光地」というイメージがつきまとっていました。それは私にとっても同じでした。
そんな中で最近私の女房の両親が東京から熱海へ移住しました。
本人たちは、意気揚々と移住計画を進めたのですが、私たち夫婦はそんな熱海のイメージから、一年もしないうちに後悔して、東京に戻ることになるだろうと思っていました。
ですが、両親は私たち夫婦の予想をはるかに超える満足を熱海に感じており、今現在むしろもっと広い家に移りたいなどと熱海ライフをより深くエンジョイしようと計画をしているほどなのです。
こんな両親たちの反応もあって、私は熱海で今何が起きているのかについて非常に興味を持っていたということがあり、この本をさっそく読んでみることにしたのです。
本書を読んでまず、実は熱海は観光地としても別荘地としても「V字復活」を成し遂げていたことに気づかされました。
そして、その「V字復活」は「民間」しかも本書の著者である私と学年も同じという市来広一郎氏を中心とした「地元の力」によって成し遂げられたことが分かりました。
この「地元の力」は、ビジネスの力です。
つまり、補助金など行政からのお金を当てにせずに、自らのお金で「まちづくり」を回していく覚悟の力です。
かつての熱海を含め、全国の地方の衰退は人口減少という自らの責任とは無関係のことを原因として考えられがちです。
ですが、それは「ビジネス」の問題、すなわち自分事ととらえることで、市場が小さくてもそれぞれが切磋琢磨して街に「魅力」をつけることで、自らの責任と努力でその小さな市場の外からも顧客を引き込むことができることを市来広一郎氏は実証しました。
もちろん、熱海の奇跡がすべて彼を中心とした若い民間の力だけによって成し遂げられてわけではないとは思います。
しかし、彼らの熱意と実績が、それよりも上の世代や行政までも巻き込んでオール熱海での取り組みを実現したことも否定はできないと思います。
最後に本書より、その「熱海の奇跡」を引き起こした本人の言葉をご紹介します。
「何か問題や可能性に気づいたら動き出すこと。気づいてしまったものの責任だと認識してその責任を引き受けてみることです。その上で、未来を、ビジョンを描いて前に進むことが大事です。ただし、一歩目はできるだけ小さく踏み出すこと。あまり大きな一歩だと大きすぎる怪我をしてしまうので。志は高く、一歩目は低く。(一部加筆修正)」
まさに、「まちづくり」も中小企業の経営も同じだと思います。