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留学は不利なのか?

2017年9月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

グローバル社会が本格的に到来しているという実感はこの数年、ランゲッジ・ヴィレッジにお問い合わせをいただく企業様の必死の様子から確実に感じられるようになっています。

にもかかわらず、多くの企業の採用活動はそのこととは異なった状況にあるようだという記事が先日(2017年9月7日)日経電子版にありました。

「海外留学から帰国して就活に挑む学生が苦戦している。語学力や海外経験は就活で有利なはずなのに。大きな要因の一つは経団連が時期を早めた6月解禁の選考スケジュールだ。帰国したときにはすでに就活シーズンが始まっていて、その出遅れを挽回できないでいる。」

「(大学主催の合同企業説明会において)大学側は帰国した4年生の学生にも、均等に就活の機会を与えたいと、開催時期を7月の最終週まで引っ張りたいと考えていたが、多くの企業側は6月中に採用活動を終える予定なので、6月最終週がベストと主張。結局、折衷案で7月中旬になったのだ。大学側が企業に参加を募った2月時点では「ぜひ参加したい」と意向を示しながら、選考が進むにつれ『採用がもう充足しそうだから』と辞退を申し出た企業もあったという。」

「採用市場に詳しい人材研究所の曽和利光社長は「企業側は日本人留学生を『英語が話せる人材』程度に考えているのが現状」と分析する。大企業の人事の中には、「英語が話せる人材の中でも、できるだけ日本の大学にいて英語を話せる人のほうがよい」と話す人もいるという。こうした留学帰国生に対する本音は、採用スケジュールの変化で表面化し、彼らへの冷遇につながっているのかもしれない。」

このような企業の国内大学出身者重視の採用姿勢と冒頭のような英語教育に対する企業の必死な様子との矛盾をどのように考えたらよいのでしょうか。

公式な企業側の募集に関する要望を見てみると、「自ら考える人材が欲しい」「コミュニケーション力のある人材が欲しい」「差別化につながる人材が欲しい」と言ったものが多く見受けられます。

留学という選択をした学生はおそらくそうでない学生よりも「自ら考える人材が欲しい」「コミュニケーション力のある人材が欲しい」という企業のニーズに適う人材に近いはずですから、企業がそのような人材を上記のように冷遇するというのは理屈に合いません。

また、就職活動をする学生側の姿勢についても不思議な現象があります。

それは、ほぼすべての学生が見事に男性も女性も黒のスーツに身を包み、今までカラフルでデザイン性に富んでいた髪の毛も一様に地味なものに変わるというものです。

実は私は大学時代にほとんど就職活動というものをした経験がないので、このことについてかなり客観的に見ることができると思うのですが、企業が「差別化につながる人材が欲しい」というニーズを公表しているにもかかわらず、毎年毎年就職希望学生のこの傾向は変わらないというのは、ものすごく異様なことのように思えてしまうのです。

ただこの現象も、学生側だけの問題とするわけにもいかないように思います。

というのも、これだけ毎年かたくなに「没個性」に邁進する学生の姿勢に対して、企業が何らかのマイナスな評価を示せばその傾向に変化が出てくるはずだからです。

しかし、企業側にはその変化はほとんど見られません。

このことは、多くの企業は実は「差別化につながる人材」よりも「素直で協調性の高い人材」を求めていることの証拠ではないかと思うのです。

この企業における冒頭のようなグローバル化への焦りとこのようなかたくなな採用姿勢の矛盾は、日本の企業社会が過渡期にあるということを示しているのではないでしょうか。

日本企業の多くは、あくまでも自らが採用する人材には、「素直で協調性の高い人材」を求め、そのベースの上でスキルとしての「グローバルコミュニケーション力」を備えてほしいというのが、現時点での本音かもしれません。

ただ、このスキルとしての「グローバルコミュニケーション力」への関心が、ランゲッジ・ヴィレッジを創立した10数年前とは大きく変わり、昨今このスキルが本当の意味で求められているというのは、間違いありません。

今後、グローバル化がもっと進むと、ベースが「素直で協調性の高い人材」でスキルが「グローバルコミュニケーション力」である人材を求めることから、ベースが「自ら考えることで差別化につながる人材」で「他人と協調できる」スキルを持つ人材を求めることに変わる可能性は十分にあると思われます。

とは言え、現時点においては、

「『まるでオフサイドトラップにかけられたよう』。後ろ倒しにより安心して就活に挑めると海外に飛び立った留学生の「被害者」も多かった。」

という記事のとおり、帰国留学生にとっては厳しいタイミングであることは間違いありません。

 

 

 

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