米国議会でのゼレンスキー大統領演説
2022年3月20日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
ロシアとウクライナの戦争に関連して、このブログでは「ケニア国連大使の世界に向けたスピーチ」とそれに続いて「ゼレンスキー氏の履歴書」という二つの記事を書きました。
今回は、それに続けて先日(2022年3月16日)行われたゼレンスキー氏によるアメリカの連邦議会でのビデオ演説についてお伝えします。
演説の内容についてですが、実際の映像を見ても分かる通り、米国議会において大絶賛を受けたようです。
一方で、日本においては「日本の真珠湾攻撃」を「9.11のテロ攻撃」と同一視しているような発言について一部問題視するような報道がありました。
しかしながら、私が驚いたのはその部分よりも、この演説の動画を配信するyoutubeの画面に以下のような「年齢制限」が表示されていることでした。
そして、その年齢を確認して次の段階へ進むと再び、
「次のコンテンツは、一部の視聴者にとって攻撃的または不適切な内容を含んでいると YouTube コミュニティが特定したものです。ご自身の責任において視聴してください。」
という「注意喚起」がなされます。
私個人としては、「ケニア国連大使の世界に向けたスピーチ」の中で書いたように、あらゆる戦争や紛争には単純には断罪できない複雑で根深い問題があるわけで、この複雑さを無視し一方的なものの見方だけで断罪するということは非常に危険なことではないかという考えを持っています。
しかしながら、一般的なこの戦争に対する世界の反応は、一方的なロシアによるウクライナへの「侵略戦争」だとするものであり、国際社会は「ロシア憎し」一色です。
だからこそ、私はこのケニア大使の演説の中にヨーロッパ社会が(そのことを今までの歴史の中で痛いほど学んできたはずにもかかわらず)今回このような結果を避けられなかった事実に対する強烈な「皮肉」を感じざるを得ませんでした。
その意味で、私はこのyoutubeの「注意喚起」はもしかしたらケニア大使の演説と同じように、youtubeという組織による現在の世界的な風潮に対して冷静さを促すものではないかと感じました。
もちろん、この演説の中にある「日本の真珠湾攻撃」を「9.11のテロ攻撃」と同一視しているという部分を日本国民の一部が批判的に受け取る可能性への配慮という個別的な意味合いにとどまるものかもしれません。
しかし、たとえそうであったとしても(当時の日本の立場だけでなく、9.11のテロ攻撃の意味合いも含め)、物事を一面だけで断罪することの危険性への注意ととることもできるかもしれません。
この「注意喚起」の真の意図をyoutube側が明らかにしているわけではありませんが、いずれにしてもアメリカ発の企業であるyoutubeがこのような一方的な世情の中で私たちに冷静さを促してくれていること自体は非常に貴重なことではないかと思います。