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コミュニケーションの3つの「E」

2025年7月11日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回ご紹介した「海外で結果を出す人は異文化を言い訳にしない」の中で、「海外で結果を出す」という命題に対する「英語でのコミュニケーション能力」というのは、そのために必要なビジネススキルと並び、そのミッションを遂行するための基礎中の基礎の部分にすぎないことを確認しました。

今回は、では「海外で結果を出す」ために必要な「英語でのコミュニケーション能力」よりも一段上のレベルである「コミュニケーション能力」そのものを分解するとどのような要素が見えてくるのかについての本書での見解を見てみたいと思います。

著者は、普段から情報共有をしているつもりだったのに、結果相手に伝わっていないということが、日本国内で日本人同士でのコミュニケーションと比べると圧倒的に多くなるという事実があるということ、そしてその事実を前提に、この「コミュニケーション能力」を以下の三つに分解することで、把握と対処がしやすくなると言います。

1.エンゲージメント(Engagement)

これは、仕事を進める際に「お互い同じ土俵に乗り、お互いの貢献を認め合う」という意味だ。ここで重要なのは、「同じ土俵」「互いの貢献」といった状況や関係性をどう作るか。そのためには、リーダーが一方的に決定事項を報告するような話し方をするのではなく「双方向性」を重視することと、情報は可能な限り公表するなど「透明性」を維持することだ。

これについては、とかく日本人は海外に出ると文脈が共有できている日本人同士で行動し、現地スタッフとの間に壁を作ってしまいがちです(会議などのスムーズさを重視して、そこで決まったことを現地スタッフに事後に報告するようなことを悪意なくやってしまいがちです)。まずは上司の方から先にアプローチして、双方向のコミュニケーションを意識することが「お互い」を分かり合う環境を作ります。

2.説明の徹底(Explanation)

「なぜこのビジネスを行うのか」「なぜこの仕事が大事なのか」といったことを、論理的に丁寧に説明するということだ。当たり前で簡単そうに見えるが、それ相応の準備と知識が必要になる。

これは、海外だからということではなく、日本人同士であっても当然に意識してやるべきことですが、日本人同士では文脈が共有できている可能性が高いという前提に甘えてしまって、意識して行う必要性を感じていないケースがあります。しかし、落ち着いてこの課題を意識すると、この当たり前のことであるべき「なぜこのビジネスを行うのか」「なぜこの仕事が大事なのか」といった「自社」の事柄について言語化することができる人は実際にはかなり少ないことに気づくはずです。

3.期待値の明確化(Expectation)

仕事の成果や自己成長などを明確に伝えることである。そのためには「部下の能力や想いの理解」と「私(会社)から部下に期待する将来像」を示す必要があり、またそれには部下から共感を得る必要がある。

これについては、ジョブ型雇用(企業があらかじめ職務内容を明確に定義し、その職務を遂行できるスキルや経験を持つ人材を雇用する雇用形態)に馴染みのない日本人はそもそもそのことに慣れていないため、そのような雇用形態が当たり前の海外に出て初めてその必要性に迫られるケースが多いと思われます。また、伝えるだけでなく、フィードバックのステップがそのプロセスに組み込まれることがカギとなります。

なお、その際に重要になってくるのが、示した期待値が次のSMARTのフレームワークに合致していることです。

S:具体的かどうか(Specific)

M:測定可能かどうか(Measurable)

A:実現可能か(Achievable)

R:経営目標に沿っているか(Relevant)

T:時間軸は明確か(Time-bound)

そして、著者はそれに

W:ワクワクできるか(WakuWaku)

を加えています。

このように「コミュニケーション能力」に関して具体的に詰められると、私たち日本人の企業環境がいかに同一の文脈に依存していて、これらのグローバルでは当たり前のステップを踏む必要性がないと思い込み続けてきたのかに愕然とさせられます。

「異文化を言い訳にしない」は「(日本では当たり前ではないがグローバルとしては)当たり前のことを当たり前にやる」ことなのだと改めて思い知らされた気がします。