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レオナルド・ダ・ヴィンチ(上・下)

2026年3月11日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回ご紹介した「専門性の身につけ方」の中で、研究の本質として「主体的に探究する」ことに加えて、「共に探求する」の二つの要素を挙げられており、特に後者の「共に探求する」の効用として新たな発見やイノベーションの源泉となることが述べられていました。

そして、その「共に探求する」の効用が最大限に花開いた歴史上の出来事として15世紀のイタリア・フィレンツェに起こったルネッサンスが挙げられていました。

当時あの場所で隆盛を誇ったメディチ家がその財力を利用して、ヨーロッパ中から芸術家、文化人、科学者らを集め、彼らを自由に交流させたことから、彼ら一人一人の「個性的な専門性」が交差したことで画期的な考えが生まれることとなり、人類史上稀にみる圧倒的な文化が花開いたというものです。

そのルネッサンス時代の中でも最も有名で、かつ芸術家、文化人、科学者としての天才の称号をほしいままにしているレオナルド・ダ・ヴィンチの伝記本が、「」が399ページ・「」が350ページという大作が故に読み始めることへの躊躇から積読状態となっていたことに気づき、この勢いに乗じて読むことにしました。

「芸術と科学、人文学と技術と言った異なる領域を結びつける能力こそがイノベーション(マネジメント)、そして非凡な閃きのカギになる。」

レオナルド・ダ・ヴィンチこそ、そのことを体現する人物はいないと著者は断言しています。

その意味で、前回ご紹介した「専門性の身につけ方」を読了した後に、本書を積読から解放したのはまさに絶秒なタイミングだったと思います。

ただし、彼の非凡な才能を「天才」と評するのは適切ではないと著者は言います。

なぜなら、彼の非凡な才能は神からの贈り物ではなく、彼自身の意識と野心の産物だからだと、そしてこの点こそが、著者が彼の伝記を書こうと思った最大の理由だからだと。

そもそも彼は公式な学校教育を受けていません。

そしてそのことが彼の業績にとってマイナスに働くどころか、それを受けていないからこそその大業績につながったことを以下のように語ったことが本書で紹介されています。

「私が教育を受けていな為に一部の口さがない人々が『教養のない男』と批判するのはよく分かっている。彼らは尊大な態度で闊歩するが、その知識は自らの努力で得たものではなく、借り物に過ぎない。私が書物から学んでいないので、表現すべきことを的確に述べる能力がないというのだろう。しかし、和足の専門分野に必要なのは他社の言葉ではなく経験であることを彼らは分かっていないのだ。」

つまり彼は、ギリシアやローマにおいて栄えた古典科学をなきものにしてしまったカトリック教会の権威によって強制される中世期の教義を学ばずに済んだことで、与えらえた知識に健全な疑いを持ち、経験的な事前研究の手法を生み出すことができたのです。

そして、著者は言います。

「レオナルドはニュートンやアインシュタインのように、普通の人間には想像もできないような頭脳をもって生まれたわけではない。レオナルドは学校教育をほとんど受けておらず、ラテン語や複雑な計算はできなかった。彼の才能は常人にも理解し、学びうるものだ。例えば好奇心や徹底的な観察力は、我々も努力すれば伸ばせる。また、レオナルドはちょっとしたことに感動し、創造の翼を広げた。意識的にそうしようとすること、そして子供のそういう部分を伸ばしてやることは誰にでもできる。」

また、もう一点、彼をして歴史上類を見ないほどの業績を残させたのは、そのような極端な「意識」と「野心」を持った彼を受け入れてくれる奇跡的な土壌があったからとも。

以下に本書におけるそのあたりに対する言及を引用します。

「レオナルドは、非嫡出子で同性愛者で左利きで注意力散漫で時に異端だったが、15世紀のフィレンツェが栄えたのは彼のような人たちに寛容だったためだ。」

このような異端の人たちは、近現代においてもそのようなケースは散見される(アップルのCMが有名です)わけですが、フィレンツェにおいては15世紀から300年もの間、彼のような異端の人たちを絶対的に肯定することのできるメディチ家という大スポンサーによってその土壌が安定的であったことが、ルネッサンスという歴史上特異な期間足らしめているのだと理解することができました。

その視点でこのCMをもう一度見返してみると、ここに登場する人物のほぼ全員がアメリカ人、もしくはアメリカに亡命された方々であることが確認できると思います。

そしてのその時期(少なくともつい数年前まで)のアメリカもルネッサンスが300年続いたフィレンツェにはかなわないまでも、歴史上特異な期間であり、および場所であったと言えるということになると思うのですが、残念ながら現時点では見る影もありません。

 

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