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マスコミの本当の仕事

2024年6月30日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

CNNの日本語版ウェブに「NYタイムズ論説委員会、バイデン氏に撤退要請」という以下のような記事を見つけました。

「米紙ニューヨーク・タイムズの論説委員会は28日、CNN主催の大統領選討論会での低調ぶりを受け、バイデン大統領に選挙戦から撤退するよう求めた。論説委員会は『27日夜の大統領に偉大な公僕だった頃の面影はなかった。2期目に何を達成するつもりなのかうまく説明できず、トランプ氏の挑発に対して反応に苦慮した。トランプ氏のうそや失敗、背筋の凍るような計画について説明責任を問うこともままならなかった。発言を最後まで言い切れない場面が一度ならずあった』と記した。さらに『今のバイデン氏にできる最高の公共の奉仕は、再選に向けた選挙戦を継続しない意向を表明することだ』と指摘。民主党にはトランプ氏に代わる選択肢となる『魅力的でエネルギッシュ』な指導者が複数いると訴えた。『有権者にトランプ氏の欠陥とバイデン氏の欠陥のどちらを選ぶのかという選択を強要して、国の安定と安全を危険にさらす理由はない。米国民が自ら目の当たりにしているバイデン氏の年齢や弱さを大目に見たり、割引いて考えたりすると望むのはあまりに大きな賭けだ』とも述べた。論説委員会はそのうえで、バイデン氏かトランプ氏かの選択になれば『明白な選択肢』としてバイデン氏を支持すると言い添えた。」

こちらがその撤退を求めたNYタイムズの記事で、以下がCNN主催の大統領選討論会でのバイデン氏の様子を報じたChannel4というイギリスの放送局によるニュース動画です。

ちなみに、アメリカのマスコミ企業は、以下のようにそれぞれ保守(共和党)とリベラル(民主党)のどちらかにスタンスを置くかがある程度明確になっていると言われています。

伝統的には大手の新聞やテレビネットワークは「中道から左派・リベラル」寄りとされる人たちに好まれる傾向があったのですが、ケーブルテレビ時代になりFOXニュースが誕生したり、インターネット時代になり「保守・右派」に好まれるブライトバートのようなニュースサイトが誕生し、最近では非常に勢いを増してきています。

こちらのページをご参照ください。)

直近では、CNNやMSNBCの二つを足しても、FOXニュースの視聴者数には敵わないというデータもあり、日本のメディアが「現地メディアによりますと」と紹介するとき、引用されるのはCNNや有力紙のことが多いかもしれませんが、アメリカではFOXニュースの視聴者数が非常に多い点を考慮する必要があるようです。

実際に、2016年の大統領選挙で大方の日本人がトランプ大統領の誕生などありえないと思っていたのに、ふたを開けてみたらそれが実現してしまったというのもそのあたりに原因がありそうです。

今回のNYタイムズの論説員たちによるこの行為は、きわめて短くまとめると以下のようになります。

「自紙が明確に『民主党』を支持していることを表明し、そのことに責任をもっているからこそ民主党の公式な大統領候補であるバイデン氏に選挙戦からの撤退要請を要請し、民主党に対して若くて有能な新たな大統領候補を立てることを求めた。しかし、それでもそれがかなわず、バイデンがこのまま候補者のまま選挙に突入した場合には、トランプ打倒のため躊躇なくバイデンを支持する。」

なんという主体的で具体的な立場の表明でしょう。

自分たちの本当の仕事が「世論の抽出」ではなく、「世論の形成」であるという圧倒的な自覚がマスコミになければ、このような意見の表明はできないはずで、私はそのような自覚を持ったマスコミが存在するアメリカを非常にうらやましいと思いました。

 

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