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敵も味方もない

2026年3月20日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

昨日(2026年3月19日)の読売新聞夕刊「よみうり寸評」に、2016年5月27日にオバマ大統領が米国大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、平和記念資料館(原爆資料館)を視察、原爆死没者慰霊碑で献花した際に被爆者を代表され彼と抱擁を交わした森重昭さんが88歳で亡くなったことを伝える記事がありました。

(2:30)

以下、記事より重要部分を引用します。

「大卒の初任給が10万円前後だった時代に、その人は広島で被爆死した遺族を探すため、アメリカにかけた国際電話の料金が7万円に達した月もあったという。生涯を被爆地の歴史研究に費やした森重昭さんが88歳で亡くなった。8歳で広島の爆心地近くで被爆。確たる記録のない、自身が通った国民学校で焼かれた死者数の調査を独自で始めた。それが1970年代半ば、38歳の時だ。会社勤めの傍ら、休日のたびに地元を一軒一軒訪ね、戦災誌や証言録を渉猟した。その過程で米兵捕虜12人が被爆死したことを突き止めた。米兵の遺族や上官らと交流を続け、慰霊の銘板を広島に自費で設けた。原動力となっていた思いを本誌に語っている。『原爆の犠牲者に敵も味方もない。すべての人が追悼されるべきだ』敵と味方を峻別し、分断が進む世界で、その人の足跡のなんとまばゆいことか。」

前回の「ゲームチェンジの世界史」の記事の中で、印象深いゲームチェンジャーの一つとして「一神教」を取り上げ、以下のような説明を引用しました。

「そもそも多神教は『神はこの世界のありとあらゆるところに多数いらっしゃる』と考えるわけだから、遠い世界に住む異民族が聞きなれぬ神を信仰していたとしても、『ま、広い世の中、そういう神もいるかもね』と思うだけですし、似たような神がいればそれらを同一視したりすることも珍しくありません(以前に「外国人から見る日本人のグローバル力」の記事でその実態を見ました)。それに対して一神教では、神はこの宇宙の隅々までどこを探してもその神一柱しかいないのですから、異教の神は一つの例外もなく『邪神』、異教はことごとく『邪教』ということになります。したがって邪教との妥協などありえず、その信者どもなど、無慈悲・残忍・冷酷に殺せば殺すほど全能の神はお悦びになる、という理屈になります。」

森重氏の「原爆の犠牲者に敵も味方もない。すべての人が追悼されるべきだ」という言葉は、絶対に「一神教」の考えからは出てこない、まさしく多神教の国民である日本人の理想的考え方を体現されるものだと思いました。

今現在の彼の国の指導者に対して、「多神教」的精神を学べと言ってもそれは虚しく響くだけだということは分かりきっていますが、少なくとも彼の国のベトナム・イラク・アフガニスタンとの戦争の「歴史」を忘れることだけはないようにしていただきたい。

強くそう願いつつ、森重昭さんのご冥福を祈ります。