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「事業を行う者」の矜持

2025年9月3日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回、「『事業を行う者』の本懐」の記事にて、マクドナルドの「ハッピーセット問題」を取り上げて、なぜ同社がこの売り上げがおまけ目的のものであると明らかになった時点で、それを問題視し、自らの商品の魅力を中心とした商品開発に舵を切ることをしないのかについて書きました。

今回は、駿台予備校の「東大合格者水増し公表問題」の解決への取り組みについてのインターネット記事をご紹介し、前回に引き続いて、「事業を行う者」のあるべき姿について考えてみたいと思います。

まずは、この記事を以下に引用します。

「8月1日、大手の駿台予備校が’26年度の大学入試から合格者数の公表を中止すると発表しました。『受験生が複数の塾や予備校、オンライン教材を併用して学ぶのが一般的となり、単一の教育機関の合格者数が本来の意味を持ちにくくなった』と理由を話しています。塾や予備校の東大対策講座には他塾の生徒も多く通います。その生徒たちの合格実績は複数の塾で『ダブルカウント』されます。そのため、東大の合格者数よりも各予備校や塾の合格実績の合計が多くなります。特に今はオンラインでの受講が増えたため、複数の塾や予備校に通う生徒が増えてきました。そうなると、合格実績に意味がないと思うかもしれませんが、それは違います。志望校に多くの合格者を出している塾や予備校であれば、その志望校の対策が優れていると推測できるからです。駿台予備校は全体の合格実績は公表を止めますが、校舎別の実績の公表は続けるとのこと。たとえば、北海道の校舎であれば北海道大学などの地元の大学の合格実績は受験生にとって必要な情報だからです。つまり、塾や予備校が東大の合格者数が多いことをアピールしてブランド力を高め、生徒を集めるという『合格実績ビジネス』は終焉したということです。かつては『東大に多く受かる塾や予備校=優秀』という発想がありましたが、今は受験生も成熟しているため『東大に多く合格する塾や予備校が自分に合うとは限らない。自分の志望大学へ合格実績がある所に通いたい』と冷静に判断するようになったのかもしれません。」

私が受験生だった三十年近く前、いやそのずっと前からもこの「ダブルカウント」は知られていました。

いやむしろ、「ダブルカウント」だけでは説明ができず、その予備校主催の模試を一度でも受けた人までもカウントしなければ合わないくらいにマルチカウントが行われているはずだとまことしやかに語られていましたので、私たち受験生は当たり前のようにその下駄の存在を前提に独自の感覚をもって各予備校の評価をしていました。

つまり、その公表情報を誰もまともに受け取っていないまま、同じことを何十年も続けてきたというのがこの業界の公表の仕組みでした。

高校生でさえ、当たり前のようにその数値をスルーして、独自の感覚で再評価するようなことがずっと続いているのに、そのことに対して「修正」「改善」をしてこなかったことに対して、私は「事業を行う者」の矜持はなかったのかと疑問に思います。

ここで言う「修正」「改善」とは、自らの実績に自信を持っているのであれば、自校だけは、正確で実質的な結果、例えば本科を受講している人だけの結果をしっかりそれを説明しながら公表することなどです。

そもそも、高校生でさえその無意味さに気づいているわけですから、自信がある予備校であれば、それは特段勇気のいることでも何はずですし、それを続けていけば、逆に受験生の信頼は何倍にも跳ね上がったのではないでしょうか。

ですから、私から言わせれば、天下の駿台予備校が26年度の大学入試から公表をやめるというこの判断などあまりにも遅すぎることですし、記事には

「合格実績に意味がないと思うかもしれませんが、それは違います。志望校に多くの合格者を出している塾や予備校であれば、その志望校の対策が優れていると推測できるからです。」

と書かれていますが、比較可能性が失われているわけですから私はこれを正しい認識とは思えません。

また、

「駿台予備校は全体の合格実績は公表を止めますが、校舎別の実績の公表は続けるとのこと。たとえば、北海道の校舎であれば北海道大学などの地元の大学の合格実績は受験生にとって必要な情報だからです。」

と書かれていますが、これについても、少なくとも「正確で実質的」な結果のみを公表するようにしていくべきでしょう。

その意味で言えば、記事が言う

「東大の合格者数が多いことをアピールしてブランド力を高め、生徒を集めるという『合格実績ビジネス』は終焉した」

というようなことでこの問題の解決を図るのではなく、正々堂々と東大合格者における「正確で実質的」な自校の結果のみを公表する方針に転換することでいいじゃないですか。

それこそが、予備校という「事業を行う者」の矜持だとおもうのです。

 

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