
アメリカを知るための英語、離れるための英語 #110
2015年4月26日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 アメリカを知るための英語、アメリカから離れるための英語
【著者】 鈴木 孝夫
【出版社】 文藝春秋
【価格】 ¥1,619 + 税
【購入】 こちら
日本は、自らの実力を過小評価して、自分はまだまだだ、自分以外の良い文化をもっともっと取り入れなければならない、ということを信じ、実際に取り入れ続けるということを聖徳太子の時代から現代まで続けているという事実にスポットをあてて、かつては中国、英国、そして今ではアメリカというお手本の背中を追い続けていることを指摘しています。
そして、実はこのような思考をする国自体、日本以外にはない非常に珍しい現象だと言います。
なぜなら、それは日本という国が地理的事情から、他の国から一度も侵略されたことがなく、自らの文化を他国によって壊滅させられたことがないから。つまり、日本が筋金入りの「平和ボケ」国家だからこそなせる業だということです。
そして、そのことによって、素直に他の国の良い部分だけを自らの選択で取り入れてきたこと自体は、今の日本の発展に欠かせないことだったとも著者ご自身が認めています。
しかし、その結果、自らが彼らに追いつき、ある部分では追い越しもするような発展を遂げた今、その思考を続けることは、理屈に合わなくなってきたということを様々なエピソードを交えながら主張されています。
しかも、本書は出版を前提として書かれたものではなく、著者の講演を書き起こしたものなので、いい意味でも悪い意味でも「生々しい」描写や解説が多く刺激的でもあります。
そのため、著者の他の著作に比べると、ところどころ、反論のための反論によって言い過ぎの感が否めない部分もありますが、これから日本がフォローイングカントリーからリーディングカントリーとして世界に主張していく必要性を考えると、これくらい極端に主張する必要性についても納得できるような気がしました。
文責:代表 秋山昌広