アメリカ人の知らない英語 和製英語のすべて #21
2014年5月10日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 アメリカ人の知らない英語 和製英語のすべて
【著者】 山田雅重
【出版社】 丸善ライブラリー
【価格】 ¥641+税
【購入】 こちら
この本には、その続編の「アメリカ人の知らない英語(和製英語のルーツ)」があります。
ちなみに、私は個人的にも、和製英語について言いたいことがたくさんありますので、次回もこの続編についての書評という形をとって、二週にわたって和製英語について語ってみたいと思います。
この本は曰く、「本物の英語のつもりで日常よく使っている身近な、しかも基本的な和製英語に焦点を当て、和製英語と本物の英語の違いを指摘し、国際化時代における外国人とのコミュニケーションをスムーズに進めるための処方箋をしめしたもの」ということで、様々な和製英語をピックアップして説明をしてくれています。
たとえば、
バイキング、パンツ、ペーパーテスト、ハンドル、コンセント
これらは、すべて、和製英語です。そして、始末の悪い和製英語です。
というのも、勝手に日本人が作ってしまった和製英語でも、それが一つのことを意味するものであれば、「理解されない」だけで済みます。
しかし、先ほどあげたものはすべて、いわゆる和製英語の意味以外に、本物の英語も存在することで、別の意味を持っているのです。
つまり、「理解されない」だけではなく、まったく違うことを意味して「誤解」を生じさせてしまうという二重の問題を抱えているのです。
この本には、このような和製英語がこれでもかというくらいに例示されていました。
読んでいて考えさせられたのは、何が日本人に対してこれほどまでに多くの「始末の悪い」和製英語を作り出すモチベーションを与えているのかということです。
日本人が英語話者に対して通じることのない独自の「英語っぽい新しい言葉」を作り出す合理的理由をどうしても知りたくなってしまいました。
そこで、googleで調べてみましたが、和製英語の構造や種類などについては詳しく説明しているサイトは多々あるのですが、「なぜ」に答えてくれるものは見当たりませんでした。
それでも調べている中で、参考になったことがあります。それは、日本語の中にカタカナ言葉が増える理由についての記述です。
「江戸時代の鎖国の反動で、商品名にカタカナ名前を付けると輸入物=高品質と思ってもらえること」
確かになるほどなと思える考察だと思います。
そして、この流れは中国語と違ってカタカナという「便利な」表音文字を持つ日本語だからこそここまで強力なものとなったのだと思います。
中国語においては、日本とは全く逆でかたくなまでに英語の意味をとらえて表意文字である漢字に落とし込みます。つまり、意味をとらえて新しい言葉を感じで作り出すという作業を行うのです。
例えば、テレビは「電視」、パソコンは「電脳」、サッカーは「足球」。
素晴らしいクリエイティビティだと思います。
ですから日本の和製英語のような「誤解」が生じる危険はほとんどありません。
日本は、「便利な」カタカナがあるがゆえに、中国のように一度噛み砕いて意味や背景を理解するという工程を放棄してしまっているといえるかもしれません。
しかしです。
そのような流れはあったものの、実は日本でも明治維新で外国語が日本に入ってきたときには、中国以上のクリエイティビティを発揮して素晴らしい言葉を作り出していたことも事実です。
「文化」「文明」「経済」「感性」、、、あげればきりがない程出てきます。
そして、なんとその多くは中国に逆輸入されて今では和製中国語(これは中国でも理解されている完全な中国語)として活躍しているのです。
おそらくですが、第二次大戦後に、明治時代とは比べ物にならないほど多くの外国語が一気に入ってきたときに、そのような努力を完全に放棄してしまって今のような状態が決定的になってしまったのではないかというのが私の現時点での推測です。
前篇はこのくらいにしておきます。
より答えに近づくことができるのではという期待をもって続編である「アメリカ人の知らない英語(和製英語のルーツ)」を読むことにします。
次回、もう少し突っ込んだ考察を披露できるように頑張ります。それでは!
文責:代表 秋山昌広