
英語を学べばバカになる グローバル思考という妄想 #101
2015年3月2日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語を学べばバカになる グローバル思考という妄想
【著者】 薬師院 仁志
【出版社】 光文社新書
【価格】 ¥720 + 税
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タイトルもそうですが、アメリカに対して何か恨みがあるのではないかと言うくらいアメリカ批判の強い本です。逆に、著者が学んだヨーロッパに関しては無批判に近い評価をしており、少々論調的にバランスを欠いた感じを受けてしまいました。
しかし、日本の「グローバル化」が実は「アメリカ化」に近いものであると言う考え方には一定の理解を示すことができます。
つまり、「グローバル化」の名の下に、日本がアメリカという長いものに巻かれることによって「手っ取り早く」保身を図っているのではないかと一度真剣に考えてみる必要があるという視点にはは確かな価値があると思いました。
逆に言えば、この「アメリカ化」はここまで徹底的に指摘しないとぬぐえない根深いものだと言うのが著者の主張と見るべきかもしれません。
この著者の指摘を、日本人にとっては英語はあくまで道具として認識すべきものであって、日本人の思考自体は日本語で行わなければならないということをしっかり理解する必要があるというような主張としてとらえるべきです。
本書では、著者はこの点について以下のように行っています。
「外国語の支配を受けず、外国語に依存せずとも生きて行けると言う日本の状況は喜ぶべきことなのだ。母語が安定している国は、自分たちの社会を自分たちの言葉で考える可能性を持っていると言える。(一部加筆修正)」
それでなければ、英語を母国語とするアメリカには、経済的にも、文化的にも永遠に日本人はかなわないと言うことが決定してしまうわけですから。
ただ、ここでもう一歩すすめて、私は英語に「支配」されるのではなく、英語を「活用」できるという、高度な意味での「グローバル化」を進めることをきちんとすることが重要であると理解しました。
文責:代表 秋山昌広