史上最悪の英語政策 #176
2018年1月17日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【著者】 阿部 公彦
【出版社】 ひつじ書房
【価格】 ¥1,300 + 税
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著者の阿部公彦(まさひこ)先生は東京大学で教授をされており、私の中学・高校の先輩にあたる方です。
在学が重なったことはありませんが、田舎の学校から東大に進まれ、しかも教員として東大に残られるというのは非常に珍しいため、先生のことは以前より存じ上げておりました。
ただ、英語教育についてこのように厳しい批評をされる方だとは認識しておりませんでしたので非常に興味深く読ませていただきました。
TOEIC至上主義、小学校英語教育、学校教育のオーラル化、そして本書で取り上げられている「大学入試の4技能化」、これらは、英語教育を真剣に考えている人間であれば簡単に本質から外れていると認識できるものです。
昨今の学校英語教育の変革がこのようにことごとく失敗を重ね続ける理由について考えるにあたり、様々な方の意見を見てきましたが、間違えていることについての指摘はあれど、なぜ間違えるのかについての明確な答えを指摘される方はなかなかいらっしゃいませんでした。
しかし、著者は「明確な意図をもって間違えている」人々の存在について明らかにされています。
今まで間違えを指摘してこられた方々もその理由については敢えて言わなかったという節もあるような気がします。
その意味で著者の本書の試みはとても勇気のいることだと思います。
同窓として、心からの尊敬の念を禁じえませんでした。
文責:代表 秋山昌広