英語は教わったように教えるな #174
2018年1月3日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 英語は教わったように教えるな
【著者】 若林 俊輔
【出版社】 研究社
【価格】 ¥2,500 + 税
【購入】 こちら
本書は、1955年に東京都の中学校の英語教員を皮切りに、東京学芸大学、東京外国語大学、拓殖大学等の教授を歴任し、2002年に亡くなった若林俊輔氏の過去の著作から、彼の一貫した在野教育者としての存在に敬意を表する後進の5名の学者が、彼の学校英語教育に対する厳しい指摘を含む記述をピックアップして再編成したものです。
冒頭での編者の一人による「こんな時代にあの先生が生きていたら何を言っただろうか」という記述からも感じられるように、若林氏は常に在野の立場から、制度としての英語教育に対して時には多くの敵を作りながらもその本質に迫りながら批判的な指摘をし続けたことが分かる内容になっています。
私から見れば、日本の英語教育は一貫して悪い方向に進んできたと言わざるを得ないことから、彼の著作の多くが1970年代から90年代にかけて書かれたことを考えると、そのころでさえ、ここまで厳しく批判されたのであれば、まさに「こんな時代にあの先生が生きていたら何を言っただろうか」と思わざるをえませんでした。
その指摘のすべてに賛成することはありませんが、彼の情熱と問題提起の方向性については賛同できる点が多く、さすが、現場を知った上で学者の道に進まれたが故の仕事だと思いました。
文責:代表 秋山昌広