
英単語の世界 #357
2026年2月12日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

【書籍名】 英単語の世界
【著者】 寺澤 盾
【出版社】 中公新書
【価格】 ¥780 +税
【購入】 こちら
受験勉強を経験した人間ならば、「なぜ一単語に一意味でおさまってくれないのか!」と愚痴を吐きたくなった経験は一度や二度ではないでしょう。
最近では、この問題を「語源」を中心に学ぶことで克服しようとする流れが強くなってきており、この書籍紹介ブログにおいても何冊も語源の解説系の書籍をご紹介してきました。
本書では、なぜ英単語(実は英語に限らずどの言語にも共通なのだが)には「多義性」が存在するのかという根本原因についての説明とそれぞれ語義がそのような関連性があるのかについての具体的説明がなされています。
ちなみに、多義性が存在する根本原因としては以下のような説明がなされていました。
「社会の変化や科学技術の進歩によって、新たな概念や事物が登場すると、それを表す言葉が必要になります。そうした場合、二つの方法が考えられます。一つは新しい概念・事物を指し示す言語表現を新たに作り出す方法。そしてもう一つの方法は、既存の語を用いて新たな概念・事物を表すものです。ただし、前者はあまり実用的とは言えません。というのも、新しい概念・事物が登場する度に新しい語を作っていったら、語彙の数が膨大になり人間の限られた記憶に耐えられなくなるからです。したがって、多くの場合、新たな概念・事物が生まれたときは後者の方法をとることになります。」
なるほど、つまり冒頭の私を含めた多くの受験経験者の愚痴は、一見もっともなものですが、それを突き詰めようとしたら、逆に自らの記憶力の限界にすぐに行き当たることになるというわけで、英単語の「多義性」はむしろ私たちを守るためにあると理解しました。
例えば、businessという名詞。
これは14世紀初めから英語に現れますが、当時は「勤勉(18世紀初頭に廃義)」という意味でしたが、その後「用事」の意味を経て18世紀前半から「商取引・商売」の意味になったと記載されています。
このように、社会の進歩と並行して新たな語義の必要性が芽生え、それらをすでにある語が吸収し、その意味のバリエーションを増やしていき、またその中で不要となった語義は消滅することがあるという常にフローな存在だというのがあらゆる言語における単語の性質です。
非常に興味深い一冊でした。









