日本人と英語

日本人のための英語学習の方程式

2015年9月6日 CATEGORY - 日本人と英語

方程式

 

 

 

 

 

 

以前に書籍紹介ブログにおいて「受験英語だからこそ英語が話せるようになる」という本を紹介しましたが、その本の中で紹介されている著者の英語教育方法が、日本人の英語教育という観点から非常に理屈のとおったものであったため、このブログで改めてご紹介したいと思います。

日本のように国内で生活する上で英語を全く必要としない国における英語教育は、そうでない国と全く異なる方法をとるしかないという事実があります。

ですので、従来の英語教育が結果を残していない現実に対処するため、オーラル教育を重視するべく、小学校にまで学習機会を広げなければということで、文法をやらずに、ただお遊戯の延長線上で英語らしきものに親しませるということでは、何の解決にもならないということは明らかだと私は思っています。

現在では、それがオーラル重視の名のもとに中学・高校の教育にまで影響を及ぼしています。この点に関して、著者は重要な分析結果を明らかにしています。

「文科省のオーラル重視による文法偏重主義の脱却の一連の試みは結果から判断すれば失敗に終わったと言わざるを得ません。なぜなら、英語でコミュニケーションをとれる学生の数は以前とほとんど変わらないのに英語教育の現場教師のほとんどが異口同音『英文解釈力は大幅下落』と断定しているからです。」

この分析は私自身の体感とも一致するものです。

そこで、私は日本の受験英語で学ばなければならない文法知識というものを所与の条件として考え(昨今、この部分が所与ではなくなってきていることに対しては、中高生向けにも「文法合宿」を用意して対応しようとしています。)、それを基礎として会話につなげるようにする場所としてランゲッジ・ヴィレッジを提案しています。つまり、学校教育において会話教育を充実させる妙案が見つからないのであれば、文法・語彙・英文読解力の強化に徹するべきだということです。それによって、きちんとした基礎さえ身に着けていれば、徹底した会話のトレーニングの機会さえ与えて上げれば、非常に短期間で「話せる」ようにさせることが可能だからです。

この点について、著者も全く一緒の考えを持たれています。ただ、その方法が私とは少し違います。著者は学校教育の中でも、基礎の構築と同時にそれを会話にまで結びつけることを実践されているようです。

具体的には、文法や構文をきちんと習得させた後、それを基に英文読解をこなさせます。ここまでは、従来の受験英語と全く同じです。ポイントとなるのが、その英文読解で内容を理解したまさにその教材をリスニングとスピーキングの題材としてフル活用しようという点です。

なるほど!と思いました。

自分の受けた教育を思い返してみれば、英文読解、すなわちリーダー教材とリスニング教材は全く別物で関連は全くありませんでした。ましてや自ら英語を発する機会などほぼ皆無です。

それを、英文読解で内容をきちんと把握した後で、それをネイティブ講師が読み上げた録音を何度も聞き返したり、その内容について先生や仲間と議論をしたり、ということを学校教育の仕組みの中に取り込むことができれば、英語の基礎力を落とすことのない、いやむしろ相互補完的な非常に有効なオーラル対策になると思われます。

本書によって、明らかになる部分はその一部でしかないので、何とも言い難いですが、方向性としては間違っていないと思います。いずれにしても、日本人のための英語学習における「文法や構文の理解」は方程式として誰もが当たり前のように認識するべきものだと思います。

 

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