日本人と英語

言語ごとの世界の切り取り方

2025年11月26日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「 AI時代になぜ英語を学ぶのか」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは「言語と思考の関係」についてです。

前回の「日本人が英語を学ぶ必要がなくなったら」の記事の中で、

「英語のコミュニケーション機能をAIにアウトソーシングしてしまえば、英語習得にかかる膨大な時間と労力を節約でき、それによって浮いた時間と労力を他の目的に使用できるようになります。」

として、コミニュケーション的意義での英語の学習の必要性の低下について確認しましたが、もう一つの言語学習の機能である「教養的意義」について今回以降考えていきます。

まずは、その基本中の基本である「言葉の意味」とは何かという話しです。

言葉は世界の森羅万象を分類する働きを持っています。

そして、その分類の仕方がそれぞれの言語ごとで異なっており、それによって言語によって世界(物事)の切り取り方、すなわち「思考」に違いが出てくるということです。

以下にこの違いが日本語と英語でどのくらいあるかという事例を本書より引用します。

まずは、「wear」と「着る」です。

「wear」=「着る」「(ズボンなどを)はく」「(ネクタイなどを)締める」「(帽子などを)かぶる」「(刀などを)差している」「(香水などを)つけている」「(髭を)はやしている」「(爪を)伸ばしている」「(眼鏡を)かけている「(化粧を)している」

このように英語は日本語に比べて圧倒的にその切り取り方が雑(粗い)なのです。

ですが、これは言語として英語が日本語に比べて全体的に切り取り方が雑(粗い)ということではありません。

では次に、「なく」と「cry」を見てみましょう。

「なく」=「(Boys)cry.)」「(Horses)neigh.」「(Cats)meow」「(Cicadas)buzz」「(Sparrows)chirp」「(Crows)caw」

このように今度は日本語の方が英語に比べて圧倒的にその切り取り方が雑(粗い)なのです。(しかもつばめとカラスという同じ鳥同士でも異なる動詞を使っています。)

最後に、名詞についても見ておきましょう。

「海岸」と「coast」です。

「海岸」=「coast」というのが一般的ではありますが、英語には「shore」という名詞も存在しています。ただ、これについては私としても同義語としてとらえていました。

しかし、この2つの英単語には以下のような違いがあるようです。

We are approaching the coast.

こちらは、「(陸の側から見た)岸に近づいている。」ということで、車を運転しながら海岸に向かっているときの会話に出てくるような表現です。

We are approaching the shore.

こちらは、「(海の側から見た)岸に近づいている」ということで、船で海岸に近づいている時の会話に出てくるような表現です。

いままで「Aegis Ashore(イージスアショア)」という陸上でのミサイル迎撃システムのニュースがあるたびにその英単語とその意味の関係に違和感を持っていたのですが、この説明でその違和感がなくなりました。

つまり、本来イージス艦に搭載されている迎撃システムが陸地に設置されるわけですから、イージス艦の上から見て、Ashore(岸から離れて)すなわち陸地にあるイージスという意味なのかと。

なるほど、これだけ言語によって世界の切り取り方が違えば、それを母国語にしている者同士の間で「思考」に違いが出てくるのは当然だと素直に理解できるというものでしょう。

 

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