日本人と英語

ヘボン式ローマ字

2019年11月20日 CATEGORY - 日本人と英語

前回より書籍紹介ブログにてご紹介した「日本語が英語と出会うとき」よりテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは「ヘボン式ローマ字」についてです。

ローマ字とは、日本語をアルファベット表記するものであり、その呼称はローマ帝国の公用語であったラテン語がアルファベットを使用していたことによります。

なお、その種類は大きく分けて「訓令式ローマ字」と「ヘボン式ローマ字」の二つがあります。

そもそも、明治時代からローマ字はそれを使用する人によって様々な方式が乱立していて、混乱を引き起こしていました。

そこで,ローマ字の 書きかたを 統一 しようということになり、1937年に公式のローマ字がつくられました。

これが 「訓令式ローマ字」です。

この訓令式ローマ字は、日本語をアルファベット表記するために使用されることを念頭にしていたため、日本人が覚えやすく使用しやすいことを重視して作られました。

ですので、英語の表記とは無関係に小学校の「国語」の時間に習うことになっています。

その特徴は、「チャ」の音を「tya」としたり、伸ばす音の上に(^)を置き「Tôkyô」と表記するところです。

もう一つが「ヘボン式ローマ字」です。

これは、本書にも詳細記述されている日本初の和英辞書である「和英語林集成」を編纂したジェームス・カーティス・ヘボン(英語に近い音はヘップバーン)が認めたローマ字表記法です。

ヘボンは、幕末に医療伝道宣教師として訪日し、横浜で医療活動を行い横浜の近代医学の基礎を築きました。また、東京白金台で明治学院を創設し、日本の教育にも貢献、聖書の日本語訳にも携わったことで知られます。

彼が編纂した「和英語林集成」は三度改定されており、第三版にて使用されている表記法が、「ヘボン式」ということになっています。

その特徴は、「チャ」の音を「cha」としたり、伸ばす音の上に(-)を置き「Tōkyō」と表記するところです。

なお、本書にはこの「和英語林集成」の三度改定ごとの表記の変化が以下のように掲載されています。

 

初版:「ス」=「SZ」「ツ」=「TSZ」「ズ」=「DZ」「キャ」=「KIYA」「エ」=「YE」

二版:「ス」=「SU」「ツ」=「TSU」「ズ」=「DUZ」「キャ」=「KIYA」「エ」=「YE」

三版:「ス」=「SU」「ツ」=「TSU」「ズ」=「ZU」「キャ」=「KYA」「エ」=「E」

 

戦後、GHQが一部の分野でこのヘボン式を強制したことなどから、一旦、訓令式で統一されたローマ字はふたたび 混乱してしまいましたが、1954年にあらためて 訓令式を公式のローマ字とすることが きめられました。

したがって、現在の日本では、「日本語をローマ字で書く」ときは訓令式を用いることが公式にはルールです。

しかしながら、現実には多くの日本人が、「ヘボン式」の方になじみ深さを実感していると思われます。

この大きな理由につながると思われることが、本書に書かれていたので以下に引用します。

「日本語を母国語とするものは日本語がどのようにローマ字で書かれていても、その綴り方によって、日本語の理解が左右されることはない。なぜなら、日本語については分かっているからだ。しかし、日本語を母語としない人は、ローマ字綴りを見て発音するのだから、ローマ字綴りから導き出される発音が、日本語の発音と近いものでなければならない。しかしそれは、ローマ字綴りを読もうとしている人の母語がどのような言語であるかということに関係してくる。ヘボンは先に述べたように、アメリカ人であるので、ヘボンが認めたローマ字綴りは英語を母語とする人がそのローマ字綴りに基づいて発音するに適していたと言えるだろう。」

今の日本において、「日本語をローマ字で書く」ときは訓令式を用いることが公式にはルールだとしても、果たして「日本語をローマ字で書く」機会はどのくらいあるでしょう。

多くの人は、学校で英語を習い、「英語を書く」ときにその基礎として使用する機会が多いはずです。また、「日本語をローマ字で書く」としても、駅名や地名などは外国人に最も理解してもらいやすく書くというのが普通でしょう。

そうなれば、グローバル言語である「英語」に最も近い表記である「ヘボン式ローマ字」が重宝されるのは当たり前のことだと思います。

特に、小学四年生が学校で「訓令式ローマ字」を習ったすぐ後で、来年度から5年生から英語教育を受けるというのであれば、大きな混乱が生じることが容易に想像できます。

2020年度の小学校英語正式開始を機会に「訓令式ローマ字」の処遇を本気で考えるべきかと思います。

 

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