不定詞の形容詞的用法の訳し方
2021年11月8日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「日本人なら必ず誤訳する英文」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは「不定詞の形容詞的用法」です。
実は、私の主宰する「全項目を網羅した英文法を血肉にする講座」においても、他の項目と比べてなかなか理解が進まない項目がこの「不定詞の形容詞的用法」です。
というのも、「不定詞の形容詞的用法」がやりたいことは、関係代名詞がやりたいことと全く同一で、先行詞(名詞)を飾ることでありながら、関係代名詞は「節」という主語も動詞も存在する完成された文の形でその役目を果たせるのに、不定詞は「句」という主語が存在せず動詞以下の不完全な形でその役目を果たさなければならないからです。
すなわち、「不定詞の形容詞的用法」はもともと根本的なハンデを負っているからというわけです。
本書では、この本質的に難しい項目である「不定詞の形容詞的用法」を実にシンプルにまとめて解説してくれていますので、以下その部分を引用します。
「不定詞の形容詞的用法における名詞とあとの不定詞の関係には以下の4通りあります。
1. 主語と動詞の関係
Phil has a lot of friends to support him.
フィルには、助けてくれる友人がたくさんいる。
→主語friendsの動詞がsupport
2. 目的語と動詞の関係
Phil has a large family to support.
フィルには、養うべき大家族がいる。
→supportの目的語がfamily
*この二つが成り立つということは正反対のことを「不定詞の形容詞的用法」はやってのけていることになります。それは分かりにくいわけです。
3. 前置詞の後に名詞(前置詞の目的語)がつながる関係
Phil has a good income to support his family on.
フィルには、家族を養うのに十分な収入がある。
→supportを修飾する副詞句をつくる前置詞onの目的語(あとにくる名詞)がincome
*前置詞が最後に残って気持ち悪いと思われがちですが、これは関係代名詞の場合も同じことです。
4. 単なる修飾関係
Phil has no intention to support his family.
フィルには、家族を養う気がない。」
このように整理してみると、私が冒頭に書いた「関係代名詞がやりたいことと全く同一」というのは少々語弊があるかもしれないと反省をしました。
というのも、「関係代名詞がやりたいことと全く同一」というのは、1.~3.までであって、「4. 単なる修飾関係」にはそれがあたらないのです。
ただ、こちらについては、本書には以下のような但し書きがありましたので、基本的には「関係代名詞がやりたいことと全く同一」の理解+αと理解しておくことで十分かと思います。
*とは言っても、4.はいつでも成り立つのではなく、
(1)時間や機会を表す語(timeやchanceなど)の場合
(2)be able to → ability to の様に、元の形容詞や動詞が toと結びついた熟語表現の名残である場合
のどちらしかありません。ちなみに、この例文ですと(2)のケースで(intend to →intention to)です。