日本人と英語

「日常会話力」と「学習言語力」

2019年2月27日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「子どもの英語にどう向き合うか」からテーマをいただいて議論をしていこうと思いますが、第一回目の今回のテーマは「英語ぺらぺら」の実体についてです。

私たち日本人は「英語がペラペラ」という表現をよく使用します。

しかし、表現する側と受け取る側との間で、その表現のイメージが必ずしも一致しているとは限りません。というか、定義が定まっていないので、一致している場合の方が少ないと思います。

著者は、この「英語ペラペラ」というイメージがきちんと定義されないことが、これから英語学習に向き合っていかなければならない子どもの保護者の不安をより一層大きなものにしてしまうと以下のように警鐘を鳴らしています。

「日常会話はできるけれど内容のある話ができない『英語ペラペラ』の帰国生を私も目の当たりにしたことがあります。面接でスピーキング力を測定する試験が公開で行われた際でした。その学生は目をつぶって聞いていればアメリカ人かと思うくらいに流暢なアメリカ英語でした。面接が終わり、試験官が出した判定は上から三番目のレベルでした。当然、最高レベルの判定だと思っていた見学者は誰もが驚きました。実際にはその学生は、趣味だの友人のことなどを聞かれた時には楽しそうに自信をもってしゃべっていましたが、『日本の教育とアメリカの教育の一番の違いは何だと思いますか?』という質問になると、『アー、ウー、you know…』としどろもどろになってしまったのです。」

このことは、言語力を「会話力」と「学習言語力」に分けて捉える言語学の考え方で説明ができます。

発音などの音韻規則や日常会話は子供の場合、自然に獲得しますが、学校の勉強など抽象的なやり取りを可能にする学習言語は自覚的に学習することが欠かせないのです。

そして、その学習言語力は、母語における読み書き能力を身に付けた後外国語として英語を学ぶ場合、非常に短期間で身につき、そうでない場合には、その習得は平均して非常に長期間かかると言われ、最終的に身に付かない場合も多いことが明らかになっています。

そうなると、人間はまず一番初めに身に付ける言語(母語)においてこの「学習言語力」を身に付けられるかどうかがその人の外国語習得を含めた言語人生を決定づけてしまうということになります。

このことをすべての保護者は真剣に考えなければなりません。

子どもにとって最も大切な母語である日本語での学習言語力を鍛えることをおろそかにして、定義を曖昧にとらえたまま「英語ペラペラ」にあこがれを抱き、英語の「会話力」ごときにかまけるなど絶対にあってはならないことを自覚するべきです。