単元ごとテストするバカバカしさ
2018年5月16日 CATEGORY - 日本人と英語
三回にわたって「科学的に正しい英語勉強法」からテーマをいただき書いてきましたが、今回が最終回です。四回目のテーマは英語の「テスト範囲」という概念についてです。
日本には中学からずっと、中間試験と期末試験があり、そこには必ず「テスト範囲」という考え方が当たり前のようについて回ります。
ですが、私はこの考え方も日本人を「使える英語」から遠ざける一因となっていると考えています。
著者も本書の中で以下のような指摘をされています。
「学校の英語の授業は単元ごとに進んでいきます。こうした授業の進め方を反映して世の中にある教材はテキストや参考書はもちろん、問題集までもが単元ごとの編集になっています。しかし、この方法は効率が悪いのです。問題演習をする際には様々な種類の問題をごちゃまぜにして解いていく『交互練習』が効果的であることが分かっています。その理由は二つあります。一つは、ランダムに触れることでそれらから共通点を見つけることで法則性を発見できるから。そしてもう一つは、分類能力が高まること。つまり、今からこの単元の問題をやりますよと言われてから問題に当たることなど現実の中ではありえないため、それを見極める力を鍛えるべきだからです。」
実際に私は、このことが語学学習に関して前回の「短期集中」と同じくらい重要なポイントであると考えており、この「交互練習」がランゲッジ・ヴィレッジの「文法講座」の仕組みの中心となっています。
ランゲッジ・ヴィレッジの文法講座は、全20回で構成されていますが、毎回その単元が終わると確認課題が出されます。
それは、その回までに習ったすべての文法項目を含んだ日本語を作ってそれを英語に直すというものです。
例えば、第五回目の課題は、第一回~第四回までに習った文法項目と新しく習った第五回目の項目をすべて自分の作りたい日本語の文章に入れなければなりません。
そうなると、最後の方になってくるとものすごくたくさんの文法項目が入ることになり、非常に複雑な文となり、しばしば何が言いたいのか分からないようなものにならざるを得なくなります。
しかし、これを行うと、それぞれの文法項目が他の文法項目と組み合わさった時にどうなるのかを常に把握することができますし、なにより回が進むにつれて、最初のころ習った項目はもはや完全に血肉にならざるを得なくなります。
また、この仕組みで進めていくためには、一つ一つの項目の理解を本当に深いところまでしなければ、雪だるま式に分からなくなってしまうので、毎回毎回、完全に理解するまで講師に質問をするインセンティブが働くこともなります。
ただ、ご想像の通り、これは受講生も大変ですが、講師の負担もかなりのものです。
なぜなら、あくまでも各受講生が自分が言いたいことを自由に作文するので、どんなものが飛び出てくるか事前には分かりません。
講師は、常に出たとこ勝負で瞬間的にその文章を分析して、間違いのポイントを解説しなければならないからです。
しかし、これをやると、前述したように第20回が終わった時には「できるようにならないわけがない」境地に当たり前に達するのです。
そう考えると、単元ごとのテストというのは、無意識のうちに教える側が楽をする仕組みとして機能しているのではないかという見方もできなくもないのでは?
語学学習に関しては特にそう思うのです。
ただ、ランゲッジ・ヴィレッジは最大8名の少人数でこれを実現していますが、40名の大クラスで同じようなことを実現するのはまた別次元の難しさがあるのは事実だとは思います。