日本語と英語における発想の「共通点」と「相違点」
2022年6月3日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「日本語脳では出てこない英語フレーズ80」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは日本語と英語における発想の「共通点と相違点」についてです。
前回は「Do you have the time? 」と「Do you have time? 」の違い、すなわち英語にはあるけど日本語にはない「定冠詞」という小さな部品のあるなしに、生涯忘れられないような強烈な記憶に残る体験をもたらすような「思考の違い」が見て取れるという話をしました。
今回は日本語と英語という地理的にも文化的にも異なる両言語における「共通点」を意識しながら具体的なフレーズを複数取り上げることでより詳しく見てみたいと思います。
まずは「共通点」から
◆ 水と油⇒ They are like oil and water.
まあ、これほど目に見える形で交わらないものの組み合わせは他にはなかなか見つけられないので当然と言えば当然かもしれません。
◆ 口が滑る⇒ a slip of the tongue
こちらは日本でも英語圏でも政治家など自分を有利にする目的で他人を喜ばせようとやりすぎてしまうことになりますが、まさに「滑る」という表現がぴったりです。
◆ 鳥肌がたつ⇒ to give someone goose bumps
これにはニワトリかガチョウかの違い、それから自動詞か他動詞かの違いはありますがほとんど共通点と見てよいでしょう。
◆ 隣の芝は青い⇒ be greener on the other side of the fence
このように他人と自分を比べるという行為はいかにも日本人的な思考に思えますが、意外にも英語圏でも全く同じ表現が存在することに正直驚きました。
続いて「相違点」を
◆ 雨後の筍(たけのこ)⇒ like mushroom after rain
竹は実はイネ科の植物でアジアで多く見られ欧米ではほとんど見られないものなので違って当然ですね。
◆ カナヅチ⇒ swim like a rock
カナヅチも岩もどちらも重くて水に沈んでしまうことから「泳げない」という発想自体は同じです。
◆ アンテナを張る⇒ to keep an ear on the ground
この英語の表現は、アメリカの先住民が戦いの時に馬車などの音を地面に耳をつけて察知することからできた表現のようなので、日本語の表現より英語の方が古いと思われます。
◆ 首を突っ込む⇒ to have a finger in the pie
◆ 足を洗う⇒ to wash one’s hands
◆ 飴と鞭⇒ carrot and stick
◆ 二足の草鞋 ⇒ to wear two hats
「相違点」としてみてきたこれら最後の四つからは、「思考の違い」というよりは単純に「部品の違い」に過ぎない小さなものがほとんどで、所詮は人間の思考である以上、かえって「共通点」が強調されるような結果になってしまった気がします。
これを安心材料として、積極的にこれらの「相違点」を受け入れていきましょう。