日本人と英語

it と that そして this の違い

2016年8月24日 CATEGORY - 日本人と英語

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前回、マーク・ピーターセン著「日本人の英語はなぜ間違うのか?」の中で、日本人が気になるけど、本当のところなかなか理解できない文法の「謎」として、「will と be going to の違い」について、著者の分かりやすい説明をご紹介しましたが、今回はもう一つ、分かりそうで分からないものをご紹介いたします。

それは、「it と that そして this の違い」です。

著者は、日本人の多くはit と that の使用の区別がつけられず、結果 it の多用が目立つと指摘しています。

例えば、「食後にレモンチェロを一杯いただこうと思っているけどどう?/ それいいね!」という対話を英語にした場合、「I am thinking of having a glass of limoncello after dinner. What do you think? / It sounds good!」という具合に、最後の文章の主語を「It 」にしてしまいがちです。

なぜなら、私たち日本人は、it =「それ」、 that=「あれ」と言う具合に他の単語と同様、一対で記憶してしまっているからです。

ですが、ここでの正解は、明らかに「That sounds good!」です。

ネイティブスピーカーとしての著者の説明は以下の通りです。

「it と that はどちらもその前に出た句・節・文の内容を指す代名詞だが、it を使用するのはその指し示す内容が一般的な場合であり、that を使用するのは具体的な場合である。」

したがって、上記の例でいえば、「食後にレモンチェロをいっぱいいただく」ことは、具体的・個人的な案であるため、明らかに that が適切だということになります。

一方で、「イギリス人は午後にお茶を飲むのが好きです。これは素晴らしい習慣だと思います。」という対話を英語にした場合には、「English people like to drink tea afternoon. I think it is a superb custom.」という具合になります。

この場合は、「イギリス人は午後にお茶を飲む」ことは、一般的な事柄であるためにitが適切ということになるわけです。

ここで、「これ」が出てきましたのでついでにですが、this は that と同様、具体的な場合に使用するのですが、その違いは、基本的には日本語の「この」と「あの」の違いのごとく極めて感覚的なものであるといえます。

ですから、日本語が「これ」となっていても、this にするわけにはいきません。

このあたりもまた、時制の問題と同様に、英語と日本語の論理の本質的な違いを学ぶのに最適な項目だと思うのですが、日本の学校英語教育は、せっかくの機会を放棄してしまっているようです。

学校教育がそれを放棄するのであれば、誰かがその本質から逃げることなく正面から取り組む必要があります。私たちは、その誰かになるべく継続的な努力をしていこうと思います。

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