正しい「自慢」の仕方
2019年2月20日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「出世する人の英語」から、テーマをいただいて書いていますが、第四回のテーマは「アメリカ人の自慢」についてです。
試しに「自慢」という言葉をググってみましたら、「笑える国語辞典」というサイトの中に次のような面白い意味が載っているのを発見しました。
「自慢とは、人前で自分をほめること、自分に関するものごとを誇ること。謙遜の精神を美徳とする日本では、この行為は恥ずべきこととされ、人前で誇っていいのは自分の「のど(歌唱力)」や「お国(出身地)」くらいである。「慢」という漢字は、自分を偉いと思って横柄な態度をとるとか、相手を軽蔑するといった意味があり、「自慢」という熟語自体がよからぬ意味あいを持っている。」
ちょっとふざけていますが本音のポイントがおさえられた説明だと思います。つまり、日本人にとって「自慢」することはデフォルトで避けるべきことということになります。
それに対して、アメリカ人はよく自慢すると著者は言います。
いや、英語には日本語の「自慢」という言葉がもつようなよからぬ意味合いはありませんので、アメリカ人は「日本人からすると自慢しているように聞こえること」を言っているだけで、決して「自慢してやろう」と思って話しているわけではありません。
以下に本書における該当部分の記述を引用します。
「正式な自己紹介の場で、自分の経験したことや歩んできた道のり、実績などについてポジティブに説明するのは彼らにとってはごく当たり前のことです。特にビジネスシーンでは自身のバックグラウンドを伝え、どのような知識や経験に基づいて意見を言っているのかと言ったことを理解してもらうのが重要です。それが自身への信頼を増し、意見に耳を傾けてもらいやすくするための正しい方法なのです。」
この説明を見て思い出したことがあります。
ランゲッジ・ヴィレッジの受講者の皆さんには、クラス分けの参考にさせていただくために英検やTOEICなどの点数とともにざっくりとしたレベル感(初級・中級・上級)を自己申告していただくことになっています。
この時に、初級/TOEIC700とか、中には中級/TOEIC900といった申告をされる方が結構いらっしゃいます。
さすがに、このようにテストの点数と並列されている場合にはこちらで判断ができますが、ときどきテストの点数を伴わず初級とされて、実際には留学経験もあったなどというケースすら見受けられます。
その場合には、結局二回目のレッスンから、上のレベルのクラスに変更することになるのですが、もうすでに上のクラスが定員いっぱいというような場合、非常に大きな問題となってしまいます。
このようなやり取りをしてしまう受講者さんの意図は明らかに「謙遜」の気持ちを表したいというものだと思います。
しかし、これでは「自身のバックグラウンドを伝え、どのような知識や経験に基づいた」情報を提供することにはならず、「謙遜」が「誤解」を招くという本末転倒の状況を作り出してしまいます。
つまり、「自身への信頼を増し、意見に耳を傾けてもらいやすくする」目的を達成することができないのです。
そう考えれば、「自慢」と日本人が考えてしまう行為は、行き過ぎてはもちろんいけませんが、自己の実績に関する適切な「情報提供」の範囲では、日本人と言えども堂々と実行すべきことだと言えそうです。
ですから、多くの日本人にとってこの問題のポイントは、「自身のバックグラウンドを伝え、どのような知識や経験に基づいた」情報を提供するかという実質的な部分の担保した上で、いかに「謙譲」の意識という感情の部分とのバランスをとるのかということだと思います。
つまり、「情報提供」と「謙遜」の二つの目的には明らかに優劣があるということを理解するべきです。