日本人と英語

お客様は神様ではなくパートナー

2019年2月17日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「出世する人の英語」から、テーマをいただいて書いていますが、第三回のテーマは「お金を払う人と受け取る人の関係」についてです。

「アメリカではマクドナルドの定員が愛想がなくて日本のホスピタリティをアメリカに留学して改めて見直した。」

このように、アメリカ人は日本人ほどホスピタリティがないというような感想を留学後に漏らす人は少なくありません。かくいう私も、そうでした。

日本のマクドナルドでは、かつてメニューに「スマイル0円」と明示されていたり、「お客様は神様です」と三波春夫さんが語ったり、と「ホスピタリティー」は「お金を受け取る人」が当然持ち合わせていなければならないものだと考えられてきました。

ですが、著者はこれをホスピタリティの問題ではなく、この「お金を払う人と受け取る人の関係」に対する認識の問題だと、以下のような説明をもって私たちに教えてくれています。

「日本人とアメリカ人とで根本的に異なるのは、『発注している側』と『発注される側』の関係の捉え方です。日本人には『お金を払う人が偉い』という感覚があるのに対して、アメリカ人の感覚では、そこに上下関係はありません。お金を払う人、受け取る人はあくまで『対等なパートナー』なのです。日本人はアメリカのマクドナルドの接客を見て『レベルが低い』と感じるかもしれませんが、お店のスタッフとお客さんは対等な関係なのだという視点を持てば、同じ接客の様子を見ても、映る風景は全く違うものになります。」

つまり、マクドナルドに支払う金額の中にスマイルの代金が入っているかどうかという買う前の認識の問題だということです。

アメリカ人は、マクドナルドのサービスにはスマイルは必要ないと考え、スマイルが入っていないハンバーガーに見合った金額が価格として設定されていると考えているのです。

ですから、スマイルがなかろうが、多少手荒く商品を扱おうが、手元にちゃんとハンバーガーが提供されれば、その取引はフェアな取引と判断されます。

それに対し、高級ホテルのサービスには当然にしてスマイルだけでなく隅々まで気遣いの行き届いた対応が含まれており、それに見合った金額が設定されていると考えられます。

このケースの場合、万が一ホスピタリティに不備があった場合には、アメリカ人は日本人以上にそのホスピタリティの不備に厳しく対応するということになります。

これが、お金を払う人と受け取る人の関係は「対等なパートナー」の関係だということの意味です。

そのため、本書には書かれていませんが、この視点からするとクレームに対する意識も全く違ったものになるはずです。

日本人は、お金を受け取ってしまった企業は、どんなクレームであってもとりあえずは「申し訳ございません」と謝罪をした上で、どのような対処ができるかを考えます。

つまり、日本のクレーム対応の本質は「謝罪」ということになります。

それに対して、アメリカ人は、そのクレームがサービスの提供側の落ち度で本来対等な関係を維持できなかったということが判断できるまでは、謝罪という行動に出ることはあり得ないと考えられます。

つまり、アメリカ人のクレーム対応の本質は、自社のサービスの品質管理のためのチェックということです。

昨今、日本の外食産業の多くが、極端な価格競争によってデフレを作り出した上に、それに見合わないサービス水準を維持しようとして、人手不足に悩むという非常に歪な産業構造となってしまっています。

このことを考えると、「お客様は神様」ではなく、対等な関係とは何かをしっかりとお客様との間で見極める「パートナー」志向が重要であることを日本人も理解する必要がありそうです。

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