「英英辞典」の使い時について
2022年11月22日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「サバイバル英文読解」からテーマをいただいて書いてきましたが、第五回目の今回が最終回です。
最終回のテーマは「英英辞典を使用するタイミング」についてです。
以前に書籍紹介ブログにおいて#62「英語辞典を使いこなす」という本をご紹介しました。
その記事の中で私は以下のように書きました。
「著者の提案する日本人にとって最も効率的、効果的な『英語辞典の使い方』を一言で表現すると、『英英は英和でピンとこないときに引け』ということになります。この感覚を日本の学校教育の中でなんとか身に着けさせる方法はないかと真剣に思います。」
本書「サバイバル英文読解」は「英文読解」に関する本ですが、そのコラムにおいて「英語辞典の使い方」においてもふれられており、その内容が#62「英語辞典を使いこなす」の趣旨と完全に一致していたのが印象的でした。
またそれだけでなく、非常に具体的な方法の提示まで言及されており、その方法による効果の高さを容易に想像できるものとなっていました。
以下に該当部分を引用します。
「私は英和と英英どちらの辞典を使えばいいのかという質問に関しては迷わず英和を使えと答えます。なぜなら、英英辞典には問題が二つあるからです。一つは膨大な英文から明確なイメージを抽出することが難しく結局あいまいなままになってしまうこと、そしてもう一つは時間がかかりすぎることです。つまり、効率が悪いからです。でもその単語がどのように使われるのかを知るためには英英辞典が最も理想的だということもまた事実です。ならば普段は英和辞典を使っておいて、ここぞというタイミングで英英辞典を使うというのがベストということになります。そのタイミングとは『英和の情報だけではうまく意味が取れない』時です。(一部加筆修正)」
まさに、英英辞典が理想だと分かっていても「長続きしない」という多くの人が経験する挫折の理由を見事に指摘されています。
要するに英英辞典は「効果的」であるが圧倒的に「効率的」でない、だから英和で効率的に対処しながら、でも英和では効果が得られないと判断したときだけ英英を活用することでその両立が図れるというわけです。
では、その具体的な使い方に関する該当部分を以下に引用して、その効果性の高さを実感していただきます。
「『win』を英和で探すと『勝つ』という訳語出てきます。そして例文も挙げられているのですが、例えばwin the game(試合に勝つ)などでは『勝つ』で通用しますが、win a prize(受賞する)だと『勝つ』では理解しづらくなります。ここが英英辞典の使いどころです。実際に英英辞典で引いてみると以下のように書かれています。
to be successful or victorious in a contest or conflict という「勝つ」に相当する内容とともに
to acquire something as a result of a contest or conflict というもう一つの意味合いが示されています。
まさに『何か賞などを獲得する』感覚です。これが分かれば例えばwin a following(支持者を獲得する)やwin the region(その地域を攻略する)といった表現に出合っても違和感なく理解できるはずです。
また、『replace』を英和で調べると『取って代わる・取り換える』という訳語出てきます。これを丸暗記するとreplace A with Bという形で出てきた時にAとB、どちらが残るのかが分からなくなってしまうことがあります。そこで英英辞典で引いてみると以下のように書かれています。
to take a place of somebody or something
という内容が出てくるので、to take a place of は取り上げてしまうわけですから、takeの直後の単語が『なくなる』イメージだと分かります。
また、exchangeもto give something and receive something else in returnで最初にgiveしてその後receiveですから全く同じです。そのため、
I exchange a smartphone for a GARAKEI phone.
という時代に逆行した様なトリッキーな文章に遭遇したとしても惑わされることがなくなります。(かなり大幅に加筆修正*手元にある英英辞書【Concise Oxford English Dictionary】の内容で書き直しています)」
上記のreplaceとexchangeの指摘など、まさにこれこそが英英辞書でなければ理解できないポイントだと思います。
しかも、このように英和辞典を使って効率性を高めた学習をしつつも、ここぞというタイミングで英英辞典による効果性を高めた学習ができるようになれば、「英英辞典は長続きしない」という悩みはもはや消えてなくなると思いました。