英語を話すことはすてること
2017年1月22日 CATEGORY - 日本人と英語
以前に「ずるいえいご」という本を書籍紹介ブログにてご紹介しましたが、その中で、その見た目は、漫画が多用されていることもあり私の嫌いな「横着本」的なにおいがプンプンしていましたが、実際に読んでみると、実に本質的な考え方が述べられていたと書きました。
今回は、本書に書かれている日本の教育を受けた日本人が英語を話せるようになるために必要な本質的なことについて考えてみたいと思います。
それは、タイトルの通り「英語を話すことはすてること」だという考えです。
著者は、この捨てる英語という考えの4大柱として、「(日本語で言いたいことの)8割捨てる」「大人語を捨てる」「直訳を捨てる」「抽象語を捨てる」をあげられています。
一つ目の「(日本語で言いたいことの)8割捨てる」は、言語の分野というよりは、「成果や結果の8割はその要素や要因の2割に基づく」という一般法則である「パレートの法則」に基づいていると考えられます。
つまり、2割の語彙で8割の事柄を表現できてしまうということです。だから、8割は捨ててしまってもよい、いや捨てなければならないというべきです。
「焼肉定食を食べた」というときに、「焼肉定食」という単語が分からずに、う~んう~んとうなることをせず、すんなり「I ate beef.」と言える思いっきりの良さがまさにこの「8割捨てる」です。当然にして、このbeefでほぼ8割、9割通じてます。
次に二つ目の「大人語を捨てる」ですが、「断られる」「拒否する」という言葉がわからないとき、子供ならなんという日本語を使うかと考えるわけです。「ダメっていう」「ノーっていう」で十分、「断り」の意味が出るわけです。ここでも、う~んう~んとうなることをせず、一瞬でこの子供言葉を出せれば8割、9割通じるというわけです。
続いて、三つ目の「直訳を捨てる」ですが、これは「キリン」をキリンと表現してはいけないと仮定して、どう日本語で表現するのかを考えるのです。「首の長いアフリカにいる動物」で、ほぼ8割、9割通じますよね。
最後に、四つ目の「抽象語を捨てる」ですが、例えば「弱音を吐く」という抽象語について、これが何を意味するのかを具体的に日本語で考えるのです。これも「自分には出来ないと言う」で、ほぼ8割、9割通じますよね。
これらを見てくると、私に言わせれば、これらを四つに分ける必要はなく、単純に「捨てる」ことを果敢に行えばいいと言うことだと思っています。
もう少し突っ込んで言えば、「言いたいことの本質を自分の知っている言葉の中でとらえる」ということなのだと思います。そして、このことさえできるようになれば、自分の現在の英語の持ち球の量に関係なく、「なんでも言える」状態を保つことができるのです。
逆に言えば、このことに気づくことができなければ、日本人はどれだけ英語を覚えようとしても、完璧になるまで「なんでも言える」という自信を持つことができないと言えてしまうわけです。しかも、完璧になるなんてことは永遠に起こりません。
これが、一番簡単に言える「なぜ日本人は英語ができないのか」の理由です。このことについては、私も自書「富士山メソッド」の中でこれと同様のことを書いています。
著者も私もそうですが、このことに気づくことができるのは、「学校時代、日本の学校英語に真剣に取り組んだ」経験と「英語圏での生活でそれが通用しないと思い知った後に、それを克服した」経験の両方を経験した者だけだと思います。
だから、このことは日本人の英語学習にとって「本質的」なことだと主張したいのです。