日本人と英語

リーディングによるリスニング攻略法

2024年6月20日 CATEGORY - 日本人と英語

前回より、書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の読み方 リスニング編」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目の今回は、リーディングの訓練をベースとしたリスニングの攻略について具体的にみていきたいと思います。

以下、該当部分をまとめます。

リスニングへの応用を前提としてスピードを上げるためのリーディング練習において重要なポイントとして三点が挙げられます。

① スピードを意識する。

スピードを上げるための練習としてスピードを意識するということでまるでトートロジーのようですが、実際にこのことを実践するために最も重要なのが、「制約」を設けた上で練習することです。

その制約の一つ目として、当然ですが制限時間を設けたり、時間を計ってみたりすることです。その際の基準は、元となる音声のデータがあるのなら、その音声と同じスピードで読めるかどうか、ない場合にはニュースの報道の基準である1分間に150語で読めるかどうかです。

そして、二つ目が使用する「素材」を厳選するという制約です。

大量に英語を読めば、あまりやり方などを気にせずともおのずと徐々に読むスピードも上がっていくと思いますが、意図的に速度を上げようとするならば、その素材の選択は重要です。

あくまでもスピードを上げるのが目的であるため、日本語で読んでも意味が取れないような難解な文学作品や抽象度の高い評論文などは向きではありません。

(現在私は司馬遼太郎の「空海の風景」という小説を読み始めたところなのですが、これがまあページが進まなくて困っています。ですので、この意味はよく分かります。)

日常を扱った報道の英文やエッセイなどが好ましく、自信をもって大意が理解できているのであれば、細部にわからない語句があっても飛ばして読み進めるというのがポイントです。

日本語字幕付きの映画を観ているときの感覚を思い出してもらえれば分かると思いますが、1つ2つ完全に理解できないところがあっても、それで途端に何もかもが分からなくなるということはないはずです。

逆に言えば、一つ目の制約の時間内で大意が取れないものは今の自分に合っていないということと理解して、素材を変えるべきでしょう。

 

② 英語は英語のまま受け入れる姿勢をもつ。

文型や修飾関係の大きな構造については英語の順番のまま理解する癖をつけたほうが絶対に読む速度は上がります。

日本語と英語の情報提示の順番の違いを以下に示します。

◆ 日本語:彼はマッキントッシュやiPhone、iPadといった世界を変える驚くべき製品や技術を思いつきました。

【誰が】【どんな】×3【何を】【どうする

◆ 英語:He came up wth amazing products and technologies that changed the world, from the Macintosh computer to the iPhone and iPad.

【誰が】【どうする】【どんな】×1【何を】【どんな】×2

日本語の場合、【どうする】にあたる動詞が最後に来ることに加え、出てきた時点で関連するほぼすべての情報が出そろっているため、ゴールに達したと一息ついて安心するというところがあります。

一方、英語での【どうする】にあたる部分はその後との流れを占う文の中核の起点であり、使用されている動詞の性質を見極め、次に続きそうな形に意識を向けなければなりません。

また、修飾のしかたも、日本語の場合は、名詞を説明する語句は全て名詞の前に、英語の場合は、名詞の後ろから説明を加える後修飾の形が発達しているため、ここでも名詞を見た段階でその性質を見極め、次に来る流れを予想するきっかけとしなければなりません。

具体的には、amazing products and technologiesまでは日本語と同じように理解するとして、そこで安心するのではなく、「どういう性質の?」とか「具体的にはどのような?」、今回の場合では、come up with(思いついた)という言葉がでてきた時点で「何を」という方向に頭が向くようにしておく必要があります。

 

③ 日英の発音の違いを知っておく。

これは、リーディングを前提とすることの弱点への対処法をあらかじめ考えておくべきだということです。

当然ですが、リーディング練習を重ねるだけでは、発音の練習にはほとんどなりませんから。ただ、ネイティブ英語発音を身に着けるべきだということではなく、もっとシンプルで基本的なものです。

例えば、「ウクライナ」を表すUkraineは「ユークレイン」、「ワクチン」を表すvaccineは「ヴァクシーン」、「反対」を表すanti-は「アンタイ」など文中でこういう認識できない単語が1つ出てきただけでも混乱してしまうことがあるので侮れない要素です。

その意味で言えば、発音だけでなく和製英語(日本語と英語の意味の範囲の違い)についてもあらかじめ知っておくことが重要となるはずです。そちらについては、「続・カタカナ英語への警鐘」の記事を参照ください。

 

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