日本人と英語

なぜ take after の意味は「~に似ている」なのか

2025年10月7日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログの「 一度読んだら絶対に忘れない英熟語の教科書」の記事の最後で、「著者の30年にわたる同時通訳者としての経験から重要性の高いと確信された110個の英熟語を厳選され、『暗記』ではなく『連想』の力で記憶を辿れることを実証しながら解説されている」というご紹介をしました。

牧野先生はこの「英熟語」に限らず英単語を含め単なる「暗記」を嫌い、「連想」の力を最大限に活用することで、「同時通訳」という英語業界の最高峰で活躍を続けられています。

そこで、今回は、日常会話で使用される3000以上と言われる熟語の中から著者が本書で厳選した110個の熟語の中から私が個人的にその「連想」のレベルが高いと思われる熟語を3つ選んで、著者の解説とともにご紹介したいと思います。

 

① take after

この英熟語が「~に似ている」という意味で使われることを知っている人はそれなりにいらっしゃるかと思います。

ただ、これに似た「look like」「be similar to」「resemble」などの熟語や単語との違いまでを抑えている人は少ないかもしれません。

そもそも、「take after」は基本的に「血縁関係のある人」にしか使えず、また外見よりも性格や行動、才能などない面が似ているときに使います。

例えば、

Everybody says my son takes after my wife.

それに対して、「look like」「be similar to」「resemble」は外見について血縁は関係なくどんな人にも、そして物にも使えます。

ちなみに、熟語ではない「resemble」はテンポを犠牲にすることで重々しさを感じさせ「フォーマルさ」を表現することになります。

そして、何をどう連想すべきかと言えば、「take=取る+after=後ろ」→後ろを取る→跡取り→「(血縁があるからこそ)似ている」ということになります。

 

➁ put off

これは、「~を延期する」という意味の英熟語です。

ちなみに、熟語ではない「postpone」は前出の「resemble」ほどではないにしても少々重々しさを感じさせるので口語表現では「put off」が使えれば問題はありません。

そして、何をどう連想すべきかと言えば、「put=置く+off=離れたところに」→離れたところに置く→「∼を延期する」ということになります。

 

③ call off

これは、「中止する」という意味の英熟語です。

これについても「cancel」「suspend」「stop」などとの違いまでを抑えている人は少ないかもしれません。

「call off」には、「もう次はない」という強いニュアンスが含まれています。再開したり、後日に実施したりすることはありません。そのため、たいてい、「~のために」という理由がはっきり示されます。逆に、理由がはっきりしない場合には「call off」は使いません。

例えば、

The baseball game was called off due to the bad weather.

理由がはっきりしない場合かつ「もう次はない」場合には一般的に「cancel」が使われます。なぜなら、「cancel」は「中止する」という行為自体にフォーカスされていることから理由があまり重視されないからです。

そして、何をどう連想すべきかと言えば、「call=宣言する+off=離れる」→その場から離れることを宣言する→「∼を中止する」ということになります。

一方で、「suspend」は「中止する」と言っても、「一時的に中止する」つまり、「停止」のニュアンスです。ですから、「再開される可能性がある」ことが使用の前提になります。

「cancel」は熟語でなくとも口語でも結構頻繁に使われますが、「suspend」は公的や公式な場面で使われる比較的フォーマルな表現ですので「停止」の意味を口語で使う場合には「stop」が用いられます。

なお、「stop」は「止める」行為自体にフォーカスされているので、一時的なのか完全にやめるのかがはっきりしません。そのため文脈で判断することになります。

 

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