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「あいまいさ」こそが失敗の本質

2021年10月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

今回は、前回ご紹介した「失敗の本質」からテーマをいただいて書きたいと思います。

前回の記事の最後に私は、日本の組織の弱点は「不確実性が高く不安定かつ流動的な状況」を前提としていない「官僚的組織」を無批判的に受入れてしまうことだとまとめました。

逆に言えば、官僚的組織は「確実性が高く安定かつ固定的な状況」であれば有効に機能するわけで、私たちが学ぶべきは、そのような組織が「不確実性が高く不安定かつ流動的な状況」に巻き込まれたときにどのような形で問題が生じていくのかという部分だと思います。

本書における6つのケーススタディでは、「戦略目的のあいまいさ」の存在が「不確実性」や「流動性」が高まることによってその悪い部分を最大化してしまう状況が生々しく描かれていました。

このケースから「官僚的組織」は上から下まで非常にリードが長い組織であって、上からのメッセージに「あいまいさ」が少しでも含まれている場合、それが下まで降りていく間にどんどん大きくなってしまい、もともとのメッセージが最終的には全く異なったものになってしまう恐ろしさを体感できました。

であるならば、日本の組織において上から発せられるメッセージには「あいまいさ」を限りなくゼロにすることを担保できないのであれば、決して「官僚的組織」をその中心に据える選択をしてはならないことは明らかです。

にもかかわらず、日本は「阿吽の呼吸」という言葉が存在することからも、他の国と比較してもむしろ圧倒的に「あいまいさ」に支配されたコミュニケーションをとることをやめられない性質を持ってしまっています。

もちろん、アメリカ軍も軍隊である以上、「官僚的組織」の形をとっていましたし、現在でもそうでしょう。しかし、本書にはその「官僚的組織」の弱点を運用で補完する知恵を持っていたことが明らかにされています。

例えば、上官と部下が艦船の甲板で散歩をしながら、作戦の意図について納得がいくまで議論をするなどというような、非公式な形で「あいまいさ」を排除する努力についても描かれていました。

一方で日本軍は、一方的な上意下達を「戦機まさに熟せり」「決死任務を遂行し、聖旨に添うべし」「天佑神助」「神明の加護」「能否を超越し国運をとして断行すべし」などの抽象的な言葉を用いながらも、それらの言葉を具体的方法にまで詰めるという方法論が完全に欠如していました。

本書では、少なくとも最初のノモンハンから始まって沖縄戦に至るまで6回にわたってこの「官僚的組織」と「あいまいコミュニケーション」の絶望的な組み合わせによる失敗をし続けたことを一顧だにせずに最悪の結果を見た日本軍の末路を見せつけられ、この組み合わせのあまりの強固さに唖然とさせられてしまいます。

そして、この「官僚的組織」と「あいまいコミュニケーション」の絶望的な組み合わせは日本軍という過去の組織に特有なものではなく、現代の一般的な組織である日本の民間企業もデフォルトで持ってしまっているということを自覚するべきです。

上司からの「頑張ってくれ」に対して、「はい、頑張ります」というコミュニケーションを当たり前にやってのけてしまうのですから。