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この国を出よ

2016年6月1日 CATEGORY - 代表ブログ

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皆さん、こんにちは。

だいぶ古い本にはなりますが、ユニクロの柳井社長と大前研一氏の共著「この国を出よ」を読みました。

この本まるまる一冊、日本の将来について「お先まっくら」としか思えない位、絶望的な日本の現状批判論で埋め尽くされています。

ですが、こんな暗い未来しかない日本ならいっそ捨てて出て行ってしまおうというような主張でもありません。

本書を貫いているのは、「タガを外す」ことの重要性です。「タガ」とは、木でできた桶などの容器の枠組みを固定する金属のことです。それを外すという、枠に収まらない考えを持つことの重要性を一貫して訴えています。

日本は失われた20年の期間中、ずっと「緊急経済対策」の名のもとに既存の企業にカンフル剤を打つ対策を行ってくるのみでした。このことによって、二つのマイナスの効果を生んだと言います。

ひとつは、抜本的な改革を伴うことなく国の借金だけが知らず知らずのうちに1000兆円を超えてしまったこと。

そして、もう一つが、本来市場から退出すべきだった古い産業の既存企業がゾンビのごとく延命したことによって、本来それらが退場していたら生まれるはずだった、新しい産業が生まれなかったことです。

これらは、まさに「タガ」の中にとどまって、何とかしようと思い続けたことによる結果に他なりません。

それに対して、アメリカではソフトウェアや金融、通信などの新しい産業がうまれ、日本に奪われてしまった自動車や機械産業の空洞化を埋めても余りある成果を出すこととなりました。

つまり、意識的に「タガ」をはずして枠からはみ出る思考を是としない限り、追うものから追われるものへと立場の変わった日本の生きる道はないということです。

では、どのようにしたら意識的に「タガ」をはずすことができるのでしょうか。

その一つが、まさに「タガ」である規制をなくすことを政府が意識的に行うことです。このことを本書では、「役所から保護されなかった企業ほど成長する」という主張を、規制だらけの航空業界にあった日本航空と、SPAという全く新しい産業形態によって、規制のほとんどない業界を作ったユニクロとの対比で展開しています。

しかしながら、政府が早々に政策転換をするとは到底期待できません。であるならば、これからの日本を作っていく若者が、今何をすべきなのか。

本書では、この質問の答えとして「この国を出よ」と訴えているわけです。

これは、冒頭で述べたように、本書の「この国を出よ」とは、若者は日本に早く見切りをつけて世界へ飛び出せというワンウェイのものではありません。

むしろ、日本の若者が一旦、「この国を出」て、そもそも日本の常識(タガ)が通用しない世界という道場でどこにいてもリーダーシップを発揮できる力をつけることによって、再び日本にチャンスの風が吹いたときに、帰国した彼らが日本の復活の原動力になることを期待されているのです。

「この国を出よ」には、このツーウェイの意味がこのタイトルに込められています。

私自身、自らの留学経験を振り返ってみても、なんとなく実感として分かるような気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

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