ビジネスモデル全史
2018年11月2日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
歴史ものの本は「今読まなければ!」というプレッシャーがかかりにくいので、積読になりがちですが、本書「ビジネスモデル全史」もだいぶ前に購入していてそのままになっていたもののひとつでした。
ようやく手に取ることができ、読み始めたらこれが非常に面白く、一気に読んでしまいました。
こんなことなら、もっと早く読めばよかったと後悔しそうになりましたが、本とのつながりはつながった時がそのあるべきタイミングだと思いなおしました。
本書は14世紀のイタリア・フィレンツェのメディチ家が行った金融の国際化から話が始まります。
そもそもビジネスモデルというのは「利益を生み出す製品やサービスの仕組」の総称なので、本来なら物々交換の時から存在しているものではありますが、これが革命的に行いやすくなったのが、「貨幣」の発明以降です。
貨幣がなければ、人と人との間でお互いが欲しいものを持っているという条件以外で、ビジネスは成立しません。
①価値の保存機能②価値の測定機能③価値の交換手段という三つの機能を持つ貨幣が発明されたからこそ、その条件が成立する偶然を待たずとも交換が行えるようになったのです。
ですが、それでもその交換が成立するのは、同じ空間を共有した者同士の間でのみ行われるので、その取引規模と範囲は限定されてしまいます。
その限定を取り払ってしまうという「ビジネスモデル」こそが、メディチ家の「国際為替・決済システム」だったのです。
この金融のビジネスモデルは14世紀のメディチ家の話から始まって、VISAやアメックスのようなクレジットカードの仕組みとして現代でも厳然として続いています。
この金融の仕組みをベースにして、産業革命を経てフォードのように大量に製品を作ることで一つ一つを安くして多くの人がそれを手に入れられるようにする仕組み、ウォルマートのように商品を大量に安く届ける流通の仕組みがビジネスモデルとして生まれてきました。
ただ、メディチ家に始まる仕組みが現代まで存在しているのは事実ですが、それは常に形を変えてより効率的なものへと進化していきます。
そして、その主役は次から次へと交代していきます。
「お金の使い方」「移動手段の入手の仕方」「食料の調達の仕方」、、、といったニーズはいつまでも存在し続けますが、それに応える技術が進化し、一つの主体が、その進化に対応できる主体であり続けることは非常に難しいからです。
ついこの間まであんなに万全と思われていたビジネスが、今では見る影もないというような事例はそこら中に転がっています。
本書ではその諸行無常・盛者必衰のビジネスモデルの歴史を一気に概観することができます。
その歴史を概観することは非常に爽快な感じがしますが、それと同時に今ある「ビジネスモデル」も必ず何か別の主体に取って代わられるという事実を知ることには何とも言えないやるせなさを感じます。