「ビリギャル」を読んで
2015年11月13日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日、「ビリギャル」(学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話)の著者、坪田信貴氏の講演を聞く機会に恵まれました。
非常に話の上手な方で、我々聴衆の気持ちを一瞬で向かせる力を感じさせる非常に良い講演でした。そのお話を聴くだけで、ビリギャルの物語が、よくありがちな誇張ではないのだなという気持ちにさせられました。
そのため、もう少し詳しく、この奇跡の物語を知りたくなって、「ビリギャル」を購入し読んでみました。
おそらく、多くの方の本書を読むモチベーションは、この奇跡を実現した坪田氏の特別な学習の「コツ」を知ることだと思いますが、残念ながら、そのようなものはありません。(笑)
この奇跡の物語は、純粋に「学年ビリのギャルが本来の受験生が長年かけてやるべきことを、1年でやりきることによって、偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した」というものです。
具体的には、「学年ビリのギャル」であった当時の彼女は、小学校レベルの知識も怪しかったわけで、実際に、そこまで戻ってやるべきことをやって、最終的に「慶応大学に現役合格した」ということです。
ここで、先週のブログ記事の「なぜ習慣を作ることは難しいのか」で紹介した、人間の本能を司る古い脳が、「極端に変化を嫌うこと」が人間にとって新しい「習慣」を作ることをここまで難しくさせている原因だという事実を思い出しました。
ですから、坪田氏のすごいところは、まさにこの通常では考えられない位の「大きな変化」を伴う毎日の学習習慣を彼女に作らせたところなのです。
見方を変えると、本書は坪田氏がいかに彼女の古い脳をうまく「だまして」、新しい行動を受け入れさせることに成功したかの物語ということになります。
坪田氏は、「古い脳をうまく「だまして」、新しい行動を受け入れさせる」ためのツールとして、心理学の理論をフル活用しています。
しかも、彼の素晴らしいところは、これらの理論を机上で振りかざすのではなく、実際にそれを実効的なものとするために、徹底的に生身の人間である彼女と同じ目線、同じ歩幅で接することに徹したということです。
それは、つまり相手との信頼関係を結ぶことを重要視するということです。 本書ではあげられていませんでしたが、例えば、ある生徒が少年マガジン○○という漫画の主人公に共鳴していると分かれば、自らその漫画を最初から最後まで読破するなどということを当たり前にやるような努力です。
本書によるこの奇跡の物語は、まさに「教育とは、信頼関係を結ぶことによって生徒の習慣を劇的に変え、しかもその習慣を継続させることによって、具体的な成果をつくること」であることを伝えるものだと思いました。
先週の石川善樹氏の話といい、今週の坪田信貴氏の話といい、やはり人間の成長は「習慣」にありということを強く印象付けられました。