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ChatGPTは僕たちを殺すのか?

2023年3月23日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

ここのところ急に世間を騒がせている「ChatGPT」。

IT音痴の私は、またもやそっち方面で世の中がどんどん進んでいくのに食傷気味を通り越してもういい加減にしてくれといった感じではありますが、この「ChatGPT」は私の本業である「言語コミュニケーション」ど真ん中のテクノロジーらしく、逃げてばかりはいられないということで、このテクノロジーの本質を少しでも理解しようと一冊の本を読んでみることにしました。

タイトルは「ChatGPTは僕たちを殺すのか?」で1~2時間程度で読めてしまうシンプルな本です。

著者の三浦優樹氏は、主にアマゾンのキンドルの電子書籍の執筆を主にされている方で、社会科学系の分野の著作が多数ある「文系人間」だそうで、だからこそ問題提起の仕方が非常に心地よく、率直な感想としては、おそらく私のようなIT音痴が限られた時間でこのテクノロジーの概要について知るにはこれ以上なく費用対効果の高い本でした。

まず、本書から「ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer:チャット式生成可能な事前学習済変換器)」の定義を引用します。

「非営利法人であるOpenAIによって小説の自動生成やゲームでの会話を生成する用途で開発された『GPT(現行はバージョン4)』という言語モデルがベースとなっており、与えられたテキストの指示に対して事前言語を生成する人工知能で、インターネット上にある膨大な情報を学習し、複雑な語彙・表現も理解できるという特徴を兼ね備えています。こうしたことから、インターネットで調べられることについては、そのほとんどをカバーした上で自然言語に乗せて回答することができる機械である。(一部加筆修正)」

具体的に言えば、インターネット上に転がっているブログ程度の内容はアッという言う間に作り上げてしまう代物というわけです。

また、「ChatGPT」自体はあくまでも「チャットbot」すなわちテキスト作成の機械ですが、以下のようにアレクサのような音声認識技術と併用することで会話をすることもできるようです。(しかもこの記事にあるように、2023年3月1日に有料ではあるが、OpenAIは独自に音声認識モデルWhisperを利用できるようにすることで、最先端の言語および音声テキスト変換機能へのアクセスを可能にしたことを発表しました。)

そして、著者が実際に使用してみた感覚からしても、これは知的作業の大部分を機械化する「新第四次産業革命」(第一:軽工業の機械化、第二:重工業の機械化、第三:コンピュータによる単純作業の機械化、第四:一部の知的作業の機械化)ともいうべき人類全体の富の量を加速度的に増加させる大きな出来事のきっかけとなるテクノロジーのようです。

そのことから考えると、第一次~第二次で私たちは重労働や長距離を歩く必要性から解放されたことから「筋力」への依存が昔と比べ圧倒的に減り、筋力自体は衰えてしまいました。

第三次からそれが例えば電卓の出現で「暗算」の必要性がなくなることから始まり、第四次のインターネットの出現で「(主体的に)調べること」の必要性もなくなり、このテクノロジーによってついに「考えること」の必要性もなくなることで、筋力のみならず「知力」の退化も始まることで99%の凡人と1%の天才の世の中になる(そして、増加した人類全体の富は後者に遍在することになる)と著者は予想しています。

そして、電子書籍の執筆を生業にする彼自身がこのテクノロジーのおかげで「戦力外通告」を受けるときがくることを覚悟されています。

とはいえ、第一次産業革命以前にはほとんどの人が、「徒歩」で移動しなければならなかった状態から、第二次産業革命を経て「列車」や「自動車」で移動することになったことで「筋力」が衰えたことを残念に思っているでしょうか。

むしろ、生きるための「徒歩」が快楽のための「散歩」に変わっています。

そして、今回も今まで生活のために「思考」しなければならなかった状態から、「思考」自体を余暇としての快楽にするためにこのテクノロジーを採用する選択肢を持つことができるようになるのだと考えたらどうでしょう。

そうすれば、今の私たちがかつての「ラッダイト運動」を笑い飛ばせるように、「99%の凡人と1%の天才の世の中」を肯定できるようになるかもしれません。

私のこのブログは2004年から19年かけて今日現在で2483記事となりました。そんな話を聞いてしまうと悲しくなってしまいます、、、が、もちろん有料書籍や自分自身の体験からのネタがほとんどですので、インターネットに転がっていない情報をもとに書いている点ではまだまだ存在価値はあると思っています。

 

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