ローマ字表記、「ヘボン式を基本」に改善へ
2024年1月25日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2024年1月24日)の読売新聞の朝刊に次のような記事がありました。
「複数の表記法が混在するローマ字表記の改善に向け、文化庁の有識者会議は23日、内閣告示の改正を目指す方針で一致した。英語の発音に近い『ヘボン式』が広く使われている実態に表記法を合わせる見通し。『訓令式』を基本としていた公告改正が実現すれば、70年ぶりの改革となる。審議結果をまとめた報告書案では、『訓令式よりもヘボン式が広く使用されている実態がある』と指摘した。この日の会議でも『ヘボン式が広く使われ、訓令式に統一しなおそうとすれば大変な混乱が生じる』などの意見が出された。文化庁は報告書を受け、検討を加速させる。実際の改正は盛山文部科学相が文化審議会に諮問した上で決定する見通しだ。」
これに先立ち、2023年9月の時点で読売新聞は文化庁がローマ字表記に関する以下のような実態調査を行うこととした事実を記事に取り上げていましたので、以下にその実態調査の内容について引用します。
「実態調査では、自治体や企業が用いているローマ字表記を集計する。駅名や企業名、五輪での日本人選手の登録名など幅広く、訓令式とヘボン式の使用状況を確認する予定だ。文化庁は約70年ぶりの告示改正を検討しており、実態調査の結果を今年度中にまとめ、検討に反映させる見通しだ。」
つまりは、昨年9月に実施した実態調査の結果、日本国内におけるローマ字は大方「ヘボン式」の使用が一般的である一方で、日本政府が「正式」としている「訓令式」はほとんど使われていないことが分かったため、検討の結果、70年ぶりの告示変更に向けて具体的に進む方針をとるべきとの審議の結果を報告したということのようです。
「ローマ字」に関しては、私は過去このブログにおいて以下の通りいくつも記事を書いてきました。
「日本語のローマ字採用の是非」「アルファベット日本語化論 その1」「アルファベット日本語化論 その2」「ヘボン式ローマ字」
このうち、最後の「ヘボン式ローマ字」の記事の中で私は以下の二つのことを書いています。
「この訓令式ローマ字は、日本語をアルファベット表記するために使用されることを念頭にしていたため、日本人が覚えやすく使用しやすいことを重視して作られました。」
これについてはその目的を全く理解できません。もしその目的に合理性があるとしたら、最初の「日本語のローマ字採用の是非」の記事にあるように、漢字を日本語から排除するために日本人が全員ローマ字を書けるまで覚えやすくするためということくらいでしょうが、現在の日本政府がそのことを評価してこの訓令式を維持してきたとは到底思えません。
「現在の日本では、『日本語をローマ字で書く』ときは訓令式を用いることが公式にはルールです。しかしながら、現実には多くの日本人が、『ヘボン式』の方になじみ深さを実感していると思われます。(中略)多くの人は、学校で英語を習い、『英語を書く』ときにその基礎として使用する機会が多いはずです。また、『日本語をローマ字で書く』としても、駅名や地名などは外国人に最も理解してもらいやすく書くというのが普通(だから)でしょう。」
このように、何のために「ローマ字」を使うのかという目的に即して考えれば、現在の日本の状況、いやもっと言えば訓令式が制定された1937年(87年前)から「ヘボン式」しかありえなかったはずなのです。
「訓令式ローマ字」が何の合理的な目的もないまま今までだらだら維持されてきたことは単なる日本政府の不作為に過ぎないので当然のこととは思いますが、ここへ来てようやくその重い腰を上げることになったことは評価すべきかと思います。