代表ブログ

終末時計とは

2024年1月24日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

本日(2024年1月24日)のロイターの記事に、米誌「Bulletin of the atmic scientists」が人類滅亡までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」を昨年同様「90秒」としたと発表しました。

この発表が同雑誌によって毎年行われていることを知っていましたが、その雑誌がどんな雑誌で、その「人類滅亡までの残り時間」が現実的に何を意味しているのかについて疑問をもちつつも具体的に調べたことがありませんでしたので、この機会に調べてみることにしました。

まず、この「Bulletin of the atmic scientists」という雑誌について。

「原爆の開発計画であるマンハッタン計画に関わりながらも、日本への警告なしにこれを使用したアメリカ政府に反対するシカゴ大学の科学者らを中心に1945年に創刊され、核問題や気候問題など人間社会への脅威となる科学技術上の問題を扱う非専門(取り扱う分野を狭く限定しない)科学雑誌。」

そして、この「終末時計」自体について。

「このBulletin of the atmic scientists誌の表紙のデザインを担当した女性芸術家ラングズドーフは、一触即発のバランスの上に立った冷戦時代を迎えて、核戦争という文明の危機に対峙した科学者の切迫した危機感を視覚的に伝えるため、アナログ時計の針の12:00までの残り時間が7分の状態のデザインを考案した。この『7分前』には特に意味はなくデザイン的にバランスが良いからというのが理由という。以後、同誌は、専門家などの助言をもとに、同誌の科学・安全保障委員会での議論を経てその「時刻」の修正を毎年1度行っている。すなわち、人類滅亡の危険性が高まれば分針は進められ、逆に危険性が下がれば分針が戻される。1989年10月号からは、核の脅威のみならず、気候変動による環境破壊や生命科学の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されている。」

ということは、この「90秒」の意味の解釈としては、1947年の時点での人類滅亡までの残り時間を7分(420秒)とした時に現時点ではどのくらいかを示しているということになります。

そもそも1947年時点での残り時間はデザイナーが適当に決めているものですし、現時点でのものも科学者が様々な情報を集めて分析した結果だとは言えど象徴的な意味合いしか持ちえないことになります、、、当たり前ですが。

となると、毎年の発表の正しい受け止め方としては以下のようになるのではないでしょうか。

私たち一人一人が心の中の1947年時点での残り時間を(その時は温暖化などの知識はないわけですが今なら誰でも分かるわけで、その年時点での核の脅威や化石燃料の消費量をもとに)想像し、例えば150年とかに設定した上で、150年:x年=420秒:90秒を計算し、x=32年を求めるのです。

そうすると、単に「90秒」とか言われるよりもずっと危機感が増し、意味のある数字に思えてきませんか?

ちなみに、いままででその時間が最も短くなったのが、前年にロシアのウクライナ侵攻のあった昨年と今年の「90秒」で、1991年以降一貫して短くなり続けています。

逆に、前の年よりも長くなったのは、米ソが部分的核実験禁止条約を結んだ1963年の「12分」、アメリカの上院で核拡散防止条約が批准された1969年の「10分」、米ソがSALT IとABM条約を結んだ1972年の「12分」、米ソが中距離核戦力全廃条約を結んだ1988年の「6分」、東欧の民主化が進み冷戦が終結した1990年の「10分」、ソ連が崩壊した1991年の「17分」です。

もし、私の独断で決めた420秒=150を採用した場合、1991年時点での残り時間は364年あったことになります。

温暖化についての初めての科学者の国際会議であると言えるフィラハ会議が1985年ですから、その時に人類がその議題を真剣に受け止めていたら、32年に比べたら十分すぎるほどの残り時間だったと言えるのではないでしょうか。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆